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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2019年6月27日更新
一般的な事例では
多額の損害賠償が発生
ところで、Gさんは罪に問われ、罰を受けるのでしょうか?
Gさんの起こした事故は、違法行為による事故ですので、大きく分けると刑事上の責任と民事上の責任の両面が問われます。
まず、刑事上の責任ですが、過失往来危険罪(刑法129条1項)に問われる可能性が考えられます。これによる法定刑は、「30万円以下の罰金」となります。さらに、電車の乗客などがケガをしり、死亡した場合などは他の罪にも問われる可能性があります。
ただし、Gさんは電車に危険を知らせるために警報機の非常ボタンを押しています。迫り来る危険を回避すべく、できる限りの対処をしようとしたわけです。こうしたことを、この事故に関して警察がどのように捉えるかで、刑事上の責任を問われるか否かが分かれるといえるでしょう。
仮に、Gさんが自分自身の安全のために踏切内にクルマを放置して逃げ、警報機の非常ボタンも押さなかったとなれば、罪を問われる可能性はかなり大きいといえます。
次に民事上の責任としては、当然ながら鉄道会社への損害賠償が発生すると考えられます。
事故発生直後、Gさんは「数億円の賠償」という文字を頭に思い浮かべ、目眩を起こしました。電車1両の金額は1億円とも、それを超えるともいわれていますので、車両を損傷させたとなればかなりの修理代の発生を覚悟しなければなりません(「数千万単位である」という事例も見受けられます)。
車両の修理代以外にも、代替交通機関の振替にかかった輸送費や、事故対応のための人件費などの費用、乗車券・特急券などの払い戻し費用などが請求される可能性があります。
こうした損害賠償について「必ず請求される」とは断言できないものの、鉄道会社側に「踏切の機械などが故障」「電車のブレーキの不具合」などの過失がない限り、鉄道会社は当然の対応として損害賠償を要求すると考えられます。
それがいくらになるのかは、事故の内容や規模、そして損害の内容によりますが、全体の損害賠償請求額が数千万円となることは珍しくないようです(1億円を超える場合もあるようです)。
いろいろな事例の中には、鉄道会社との間で示談が成立し、損害の全額の賠償を免れたり、鉄道会社が加害者の生活状況や身上に配慮して請求しなかったという場合もあるようですが、こうした判断は鉄道会社が個別の案件ごとに行ったことであって、「そうなるだろう」と勝手に予想することは早計です。
つまり、一般的なストーリーを想定すると、Gさんはかなりの損害賠償を負うことになりそうです。
対物・対人が無制限なら
多額の賠償にも対応できる
では、今回のような事故で、ドライバーの責任が問われ、多額の損害賠償を負った場合、その支払いはどうなるのでしょうか?
ここでクローズアップされるのが、自動車保険です。多額の損害賠償請求があったとしても、それを自動車保険で支払えれば、日々の生活は維持できるでしょう。しかし、それができなければ損害賠償の金額を自腹でなんとかしなければならなくなります。金額が大きなものであることを考えると、人生を左右しかねない一大事となります。
よって、こうした踏切事故への備えとしては、「自動車保険(任意保険)の対物賠償と対人賠償を“無制限”にする」ことが重要です。電車車両の損害賠償(代替交通機関の振替にかかった輸送費、事故対応のための人件費などの費用、乗車券・特急券などの払い戻し費用などを含む)は対物賠償によって支払われ、電車の乗務員や乗客が死傷した場合の賠償金は対人賠償によって支払われるからです。
また、踏切事故を起こしたクルマ側(今回の事例ではGさんとクルマ)については、運転者や同乗者が死傷した場合は人身傷害補償保険あるいは搭乗者傷害保険での補償、クルマの損傷については車両保険での補償がされます。
ただし、前述のように「自分自身の安全のために踏切内にクルマを放置して逃げ、警報機の非常ボタンも押さなかった」などによって刑事罰を課せられた場合、運転者およびクルマへの補償は行われない可能性が高いといえます。
最後に・・・、皆さん、前編でお話したように踏切の横断にあたっては、基本的ルールを守り、安全に渡るようにしましょう。そして、万が一の「踏切での“もしも”」に備え、自動車保険(任意保険)の対物賠償と対人賠償を“無制限”で契約し、車両保険にも入っておきましょう。
Gさんのように、この日本のどこかでほぼ毎日1件起きている踏切事故に自分自身が遭遇しないために、そして、遭遇してしまってもなんとか切り抜けるために、この二段構えをお忘れなく!
踏切内で電車と事故したら数億円の賠償が必要?(前編)
踏切内で電車と事故したら数億円の賠償が必要?(後編)
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