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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2018年4月13日更新
Aくんは逮捕される可能性アリ
さて、事故を起こしてしまったAくんの話です。
Aくんは、ゾーン30ではしっかり法定速度の時速30キロを守ってクルマを走らせていたので、なにも問題はありませんでした。
しかし、スクールゾーンでは通行禁止の時間帯だというのに、通行許可証がない状態でクルマを進入させ、速度違反まで犯してしまいました。しかも、あとでわかったにせよ、小学生の男の子に骨折というケガを負わせる事故を起こしてしています。かつ、悪意はなかったにせよ、警察に連絡しないままその場を立ち去っています……。
これはもう大いに“問題アリ”の行為です。
果たしてAくんには、どんな処分が科せられるのでしょうか?
もしかしたらですが、Aくん、危険運転傷害とひき逃げの罪を犯したということで逮捕されることになるかもしれません。
そうなったらきっと、科せられる罰則もかなり重いものとなるでしょう。
じつは危険運転傷害罪の罰則は15年以下の懲役で、それにひき逃げの罪が重なれば、さらなる懲役が科せられる可能性がでてきます。今回のケースではさほど重大事故には至らず、かつドライバーに悪意もなかったことから、そこまで厳罰に処せられることはないにしても、これまで無事平穏に生きてきた若者(会社員)にとっては、それなりにショッキングな罰則内容となることはまちがいありません。
2014年から重くなった
スクールゾーンでの事故の罰則
では、どうして車両通行禁止時間帯のスクールゾーンで事故を起こして人を死傷させてしまうと罰則が重くなるのでしょうか?
人道的な見地からいえば子どもの命を脅かす行為そのものが許されざることなので、この質問自体が愚問なのかもしれませんが、一応、ちゃんとした答えはあります。
じつは2014年に施行された「自動車運転死傷行為処罰法(「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」」がその明確な根拠となっています。
それまで危険運転致死傷罪といえば、飲酒運転などで人を死傷させる罪が代表的なものとされていたわけですが、この法律では、新たに「通行禁止道路を重大な交通の危険を生じさせる速度で運転」も危険運転致死傷罪の対象に加えています。そして、この法律でいうところの通行禁止道路とは、歩行者天国や一方通行の道路だけでなく、車両通行禁止時間帯のスクールゾーンも含まれているのです。
第2条(刑法の危険運転致死傷罪を新法に移し、さらに1類型を新設)
次に掲げる行為により、人を死傷させた場合は本条が適用されます。
従来の危険運転致死傷罪
アルコール又は薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
赤信号等を殊更無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
新設された1類型
通行禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
罰則 致死:1年以上の懲役(最高で20年) 致傷:15年以下の懲役
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