ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.51 キャンピングカーの車両保険を「改造前のクルマの価格」で契約してたら、事故の補償が満額出なかった!(後編)

2020年8月25日更新



車両保険は車両だけの保険じゃない

さて、ここからはTさんの勘違い事例についての解説です。

Tさんは、キャンピングカー仕様に改造する前のワゴン車に、購入価格の300万円を対象とした車両保険をかけていました。そして、その車両保険を「車両本体の損害に対する補償のための保険」であると捉えていました。

だから、改造を施した会社の社長から「キャンピングカー用の車両保険も忘れずに契約しておいたほうがいいですよ」とアドバイスされても「後付けした装備は車両保険には関係ないだろうから、いまのままで大丈夫」と判断し、改めて契約し直すことをしませんでした。

これが間違いの元でした。

おそらくTさんは、車両保険という名称の「車両」という単語に引っ張られて、そんな誤解・誤判断をしていたものと思われますが、保険の内容はもっと広い範囲をカバーしています。

車両保険は、自損事故などによる車両の損害(タイヤのパンクを除く)と、内部に固定されている装備品の損害すべてを対象にして補償が行われる保険です。それゆえ、保険料も車両本体の価格と装備の価格を合算した総額をベースにして決まります(厳密にいうとクルマの「用途・車種・車名・型式・仕様・初度登録(検査)年月の自動車の市場販売価格相当額」を元にして保険料が決められる)。もし、それに応じた保険料を払っていないと、不完全な車両保険ということになってしまいます。



これは後付けで改造したキャンピングカーの場合でもまったく同じ。もともとの車両本体とエアコンなどの装備に加え、新たに取り付けた電子レンジや冷蔵庫といった電化製品などの装備すべてが補償の対象(基本的に車両に固定されている装備が対象)となり、保険料もそれらの総額をベースにして決まります。そして、それに応じた保険料を払っていないと、やはり不完全な車両保険ということになってしまいます。

◎車両保険で補償対象となるキャンピングカーの装備(例)

※いずれも固定されている必要がある。



もしTさんが、こうした車両保険に関する正しい認識をもっていれば、きっと素のワゴンにかけていた車両保険を、もろもろ装備を付けたキャンピングカー用として改めて契約し直したことでしょう。それをしていなかったがために、後に保険上のプチ悲劇が訪れることになったのです(事故そのものの悲劇は別問題です)。

一部保険の状態の契約だと
すべての補償がその割合になる

このTさんの保険上のプチ悲劇は、具体的には「『一部保険』という扱いで、75%分の補償しかでない」というカタチであらわれました。

これはどういうことかというと、事例の中でネット保険会社のオペレーターさんが言っているとおりなのですが、それを元に改めてわかりやすく解説するとなるとこうなります。

① Tさんのクルマは後付け改造のキャンピングカー。素の新車の購入価格は300万円だったが、工賃を除く装備分の金額を含めると総額(時価)は約400万円となる(支払った総額は500万円だが、工賃などを除いた車両と装備の総額は400万円相当)。

② ところがTさんは素のクルマの購入価格300万円分を対象とする車両保険しか契約していなかった。追加した装備費用を足した400万円相当のクルマとして契約しなおしていなかった。

③ すなわち、Tさんの車両保険は400万円中の300万円分だけしか契約されていない不完全な状態(=75%しか満たされていない一部保険の状態)ということになる。

④ 車両保険がこうした一部保険の状態であると、保険の約款上、自損事故などで被った車両と装備の損害に対する補償は、すべてその割合の元でしか行われない決まりになっている、

⑤ Tさんの場合でいえば、車両ならびに装備の損害に対する補償は、基本的に75%分しか出ない。ボディの損害もその割合でしか補償されないことになる――。

おわかりいただけましたか?

細かい数字に惑わされなければ、そう難しい話ではありません。要はTさんは、一部保険(=不完全な車両保険)の契約にしていたために、ボディの損害の補償もその一部保険の割合に応じて減らされたということです。保険料は多少高くはなるけれど、ちゃんと総額に対応した車両保険に契約し直し、全部保険状態にしておくべきだったのです。

なお、今回はTさんの後付け改造のキャンピングカーを例として一部保険のことを紹介しましたが、これは、ほかの改造車でも十分に起こり得る話です。

たとえばセダンに高額の音響設備を施すケースがよくありますが、あれだってその総額での車両保険の契約のしなおしがなければ、一部保険ということになり、自損事故などによるどこかの被害の補償は何割かの減を余儀なくされます。車両自体の損害はもちろん、もし同時に何百万円もする音響設備も損害を受けたとなると、これは相当に痛いことになってしまいます。

ということで、改めての結論です。

皆さん、キャンピングカーをはじめ、後付けで改造をしたりする場合は、購入価格にその装備分を足した総額で車両保険を契約し直すようにしてください。それを忘れると、万が一のときには一部保険として扱われ、その割合に応じた補償しか受けることができません。「もしものとき」のための自動車保険なのに、その「もしも」のときに自動車保険で100%補えない……そんな事態になってしまうのです。どうか、お気をつけください。

キャンピングカーの車両保険を「改造前のクルマの価格」で契約してたら、事故の補償が満額出なかった!(前編)

キャンピングカーの車両保険を「改造前のクルマの価格」で契約してたら、事故の補償が満額出なかった!(後編)

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会

あわせて読みたい

  • Vol.12海外旅行でレンタカーを借りるとき、自動車保険はどうすればいいの?

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.12海外旅行でレンタカーを借りる…

    【今回のやっちゃったストーリー】はじめての海外旅行にでかけるJくん(20歳男性・学生)。空港の出発待合室で、同行する友だちと浮かれ気味に会話していた。Jくん…

    2016.12.15更新

  • Vol.30 「ゾーン」での違反と事故にご用心!(後編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.30 「ゾーン」での違反と事故に…

    Aくんは逮捕される可能性アリさて、事故を起こしてしまったAくんの話です。Aくんは、ゾーン30ではしっかり法定速度の時速30キロを守ってクルマを走らせていたの…

    2018.04.13更新

  • Vol.16 永く愛したクルマが「経済的全損」に。え、どういうこと?〈後編〉

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.16 永く愛したクルマが「経済的…

    クルマの市場価格は10年で約十分の一になるなぜ、Mさんの愛車の補償額が25万円ぽっちとなったのでしょうか?答はとてもシンプルです。Mさんの愛車の市場価格が…

    2017.05.15更新

  • Vol.48 非接触事故が自損事故扱いに。ああ、オールリスクタイプの車両保険に入っておけばよかった……(前編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.48 非接触事故が自損事故扱いに…

    【今回のやっちゃったストーリー】「海が見たいわ」街中のカフェで、長年憧れ続けてきた年上の女性から失恋相談を受けていたQくん(20歳・会社員)、そう求められて…

    2020.02.20更新

  • Vol.23 若者の「うっかり無保険運転」を防ごう!(前編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.23 若者の「うっかり無保険運転…

    【今回のやっちゃったストーリー】Tさん(56歳・会社員)の娘は、大学入学を目前にした春休みに運転免許証を取った。Tさんは父として、入学祝いにクルマでも贈ってや…

    2017.10.24更新

  • Vol.49 保険料を安くするためにレンタカーの特約をはずしたら「もしも」の事態で大出費!(前編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.49 保険料を安くするためにレン…

    【今回のやっちゃったストーリー】一人息子が就職して離れた街で暮らすようになったのを機に、Rさん(48歳・会社員)は、長年の夢だった“夫婦二人だけの穏やかな田舎…

    2020.04.23更新

< 前のページへ戻る