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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

保険料を安くするためにレンタカーの特約をはずしたら「もしも」の事態で大出費!(前編)

2020年4月23日更新



【今回のやっちゃったストーリー】

一人息子が就職して離れた街で暮らすようになったのを機に、Rさん(48歳・会社員)は、長年の夢だった“夫婦二人だけの穏やかな田舎暮らし”を実現させるべく、街からかなり離れたところにある山の奥にログハウス風のマイホームを建てて移り住んだ。
そこは電車もバスも通らない交通不便な地。買い物などの日々の用事はクルマでしか行けず、街中にある会社への通勤も愛車で片道1時間30分以上もかけてしなければならなかった。だが、豊かな自然の中の暮らしは想像以上に楽しく快適で、そういうこともまったく苦にはならなかった。
ちょっとだけ問題だったのは節約しなければならなかったこと。土地代と家の購入のためのローンを定年までに終える設定にしたために毎月の支払い額がけっこう多く、シェイプアップした暮らしをする必要があったのだ。
Rさんは外での飲食代を抑えるのは当然のこととして、スマホは格安のものに乗り換え、有料だったインターネットのテレビは解約し、通勤に使うクルマはセダンから軽自動車へと買い替えるなどした。
もちろん、この機に自動車保険もムダと思われるものを省くカタチでの契約に。なるべく安いネット保険を選んだうえで、以前の契約では車両保険に自動セットされていた、いわゆる「レンタカー費用特約」を付けないことにした。もし事故や故障で愛車が動かなくなったとしても、そのときは懇意にしている整備工場に入庫し、そこで代車を用意してもらえば済む話だと考えたのだ。実際、車検で入庫したときはいつも代車が借りられていた。
Rさんにとっては、こうした出費抑制による生活スタイルの変化は思ったほどの支障がなく、かつ多少の金銭的なゆとりもでてきたことから、とても理にかなったものに映った。「なんで今までこうしてこなかったんだろう」とさえ思った。
しかし、移住後半年ほど経ったある日、この中の一部が裏目とでた。
その日、夜の帳が降りようとするころ、Rさんはようやく走り慣れてきた街灯のない狭くクネクネとした山道を愛車で登りながら家路を急いでいた。と、あるカーブをコーナリングしたところでヘッドライトが大きな落石を照らし出す。「わっ!」。Rさん、とっさに急ブレーキを踏んだ。だが間に合わず、ガシャーン。Rさんの体はシートベルトとエアバッグで守られたものの、愛車はフロントが潰れ、サスペンションもぐにゃりとなって走行不能状態となってしまった。あーあ。
Rさんは、警察に電話するとともに、保険会社にも電話して、事故の報告がてらレッカー移動のロードサービスを頼んだ。愛車の搬入先は事故現場から10㎞ほど離れたところにある懇意の整備工場にしてもらった。
整備工場の社長「Rさん、災難でしたね。でも、ケガがなくなによりでした。あと、クルマについても安心してください。2週間ほどでちゃんと直るだろうし、車両保険に入っていらっしゃるようだから、費用はその補償でほとんどまかなえますよ」
Rさん「保険を使うと等級が下がって次回からの保険料がアップするのは痛いけど、まあ、これだけ壊れると修理代は相当いくだろうから仕方ないよね。その方向でやりますわ。ところで、今夜からクルマの修理が終わるまで、お宅の代車、貸してもらえるよね?」
整備工場の社長「あ、あ、代車ですか……。いや、それがですね、いま事故車と車検のクルマの入庫が混んでて、あいにくすべて出払っちゃってるんですよ。もちろん今夜はご自宅まで私がクルマでお送りしますけど」
Rさん「えっ、借りられる代車ないの!? うわー、そりゃあ困った。明日からの通勤、どうしよう」
整備工場の社長「すみません。代車がないときって、たまにあるんですよ。でも、Rさん、車両保険にレンタカー費用特約が付いているので、それを使ってレンタカーを借りればいいんじゃないですか? たしか1日5,000円分のレンタカー費用が15日間出るはずですよ」
Rさん「うーん、それがさあ、ネット保険に切り換えたときに、その特約をはずしちゃったんだよねえ……」
結局、Rさん、レンタカーを2週間にわたって自腹で借りるハメに。節約のために年間の特約保険料である数千円を削ったことが、数万円の出費へと繋がってしまったのだった。痛っ!

車両保険に自動セットされる特約

いわゆる「レンタカー費用特約」(保険会社によっては「代車費用特約」など呼称はさまざま)とは、いったいどんな特約なのでしょうか?

大まかにいうと「車両保険に付けることのできる特約」であり、事故や故障などでクルマが壊れたときに「その修理などに要する期間(上限15日)に使うレンタカーの費用などの補償が受けられる特約」です。

大手損害保険会社では、数年前まで、「車両搬送・応急対応等」の特約は車両保険に自動セットで、「レンタカー費用等」の特約はオプションでした。しかし、2018年あたりから大手損害保険会社は、これら一つにまとめて特約として車両保険に自動セットするようにしています。

ロータスクラブと提携している東京海上日動火災保険では「レンタカー等諸費用アシスト〈正式名:車両搬送・応急対応・レンタカー費用等補償特約(15日)〉」、あいおいニッセイ同和損保では「タフ・クルマの保険 クルマのトラブルサポート〈正式名:ロードサービス費用特約〉」と呼ばれる特約がそれに当たります。車両保険を契約すると、これがが自動でセットされるわけです。

大手損害保険会社は、契約対象のクルマへの補償を次のような立て付けで考えています。
図は東京海上日動火災保険を例としたものですが、事故により契約対象のクルマが壊れたときに補償を行う車両保険を大きな軸としつつ、事故で全損になったときのために「車両全損時諸費用補償特約」が、事故や故障で契約対象のクルマが使用できなくなったときのために「車両搬送・応急対応・レンタカー費用等補償特約(15日)」がサポートするという考えです。



ちなみに、「車両全損時諸費用補償特約」は事故でクルマが全損になったときや、盗難されたときに、車両保険の保険金が支払われるとき車両保険金額の10%(下限10万円、上限20万円)が支払われるというものです(注:この記述は概略です)。

特約を付ける・はずすはよーく考えて

ところで、自動セットとはいえ、「レンタカー費用特約」ははずすことも可能です。

方法はカンタン。車両保険を契約する際、レンタカー代の補償が不要なら「レンタカー費用不担保特約」(注:「不担保」です)を選べば、それでOK。それによって、不担保にした分だけ年間の特約保険料も安くなります(特約保険料は保険会社によって違いますが年数千円です)。

また、ネット保険や通販型保険と言われる自動車保険の場合、契約者の選択性を重んじてか「レンタカー費用特約」などはオプションとなっていることも多くあります。Rさんは、それまで契約してきた保険代理店を通じての自動車保険契約をやめて、なるべく安いネット保険を選び、オンラインで保険の契約を行ったわけですが、その際に「レンタカー費用特約」がオプションだったゆえにこれを不担保にしやすかったという見方もできます。

特約の選択については、契約者自身の懐具合とカーライフの様態を鑑みた結果の判断であり、個人の自由なので、良し悪しについては何とも言えません。
ただし、この選択にあたって「たぶん何とかなるだろう」という楽観もしくは甘い予測からそうすることに対しては、「本当に大丈夫?」と問いかけたくなるところは多分にあります。

Rさんのケースが、正にそう。「事故や故障でクルマを修理することになっても、その間は、懇意にしている整備工場から代車を出してもらえるだろうから、レンタカーを使うことはないはず」との安易な判断の元で、「レンタカー費用特約」を不担保にしたわけですが、現実はそうはならず、2週間にわたるレンタカー使用の費用すべてを自腹で支払うハメとなってしまいました。

いかな整備工場といえども、そんなにたくさんの代車を持っているわけではありません。事故車や車検の入庫が混んでいれば、代車がすべて出払うことは往々にしてあります。

それに、最近はユーザー側にも「故障や事故の修理の際には、自動車保険でレンタカーを借りる」という考えは浸透しています。
これを受けて整備工場では、自社の事業の中にレンタカー事業を設け、故障や事故の修理の際に自車所有の代車を提供するのではなく、自社にあるレンタカーをお客さまの自動車保険の「レンタカー費用特約」を使って借りていただくというプロセスを取ることが多くなっています。
つまり、使用料ゼロの代車は、整備工場でも減少傾向にあるのです。

Rさんは、そうした現実に思いを至らせることができない状態で節約=不担保に走り、いらぬ損を被ってしまったのです。

「レンタカー費用特約」の特約保険料、年間数千円を高いと見るか安いと見るかは個人の捉え方次第です。ですが、もしもの事故などで愛車が使えなくなったとき、日常的にクルマを使うことが多いのであれば、そのときの対策として「レンタカー費用等特約」は有力な一手。

自動車保険の更新時に自動セットでよいかどうか改めて考えたり、ネット車検の契約時にオプションを付けるかどうかで迷ったときには、ぜひそのあたりのことをしっかり意識しながら最終決断を下すようにしてください。

保険料を安くするためにレンタカーの特約をはずしたら「もしも」の事態で大出費!(前編)

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