時間をかけて修理・復元が続けられている「鳥取城址」

2023年11月14日更新

戦国時代、羽柴秀吉（豊臣秀吉）が兵糧攻めで攻略したことで知られる鳥取城。「日本（ひのもと）にかくれなき名山」と言われた、標高263mの久松山（きゅうしょうざん）の急峻な地形を利用して築かれ、防御性の高さや山頂からの眺めの良さから織田信長が「名城」とたたえました。また、江戸時代に入り、鳥取藩三十二万石の居城として整備された山麓の城の姿は、世界文化遺産である「姫路城」を手掛けた職人たちの手で造られたため、姫路城の“弟城”とも呼ばれています。1957（昭和32）年に、国の史跡に指定され、2006（平成18）年には、日本100名城に選定されています。

鳥取城跡全景　写真提供：鳥取市教育委員会

吉川経家公像と鳥取城　写真提供：鳥取市教育委員会

明治時代に、城の建造物は全て取り壊されてしまいましたが、山頂には天守跡や井戸などのほか、山麓にも高低差を活かした数多くの石垣が残されています。

中でも珍しいのは、標高51メートルの「天球丸」と名付けられた敷地を支える石垣に築き足された球面の石垣「巻石垣（まきいしがき）」です。江戸時代末期に、崩れる危険のあった背後の石垣を補強するために造られたといわれていて、大きさは幅約12メートル、高さ約5.5メートル。このような球面の石垣は全国でも鳥取城跡にしかありません。長い年月の間に、巻石垣そのものが崩落してしまっていましたが、2012（平成24）年に鳥取市によって復元されました。こうした石垣の修理を、鳥取市は1959（昭和34）年から進めていますが、まだ終わっていません。長期間かかっているため「鳥取のサグラダ・ファミリア」と言われているそうです。

天球丸の巻石垣　写真提供：鳥取市教育委員会

また石垣だけでなく、2006（平成18）年に鳥取市は「史跡鳥取城跡附太閤ヶ平保存整備基本計画」が策定し、それに沿った整備を実施してきました。2018（平成30）年に大手橋「擬宝珠橋（ぎぼしばし）」が復元され、約120年ぶりにその姿を現しました。2021（令和3）年には大手門「中ノ御門表門（なかのごもんおもてもん）」の復元が終了。

復元が進む大手登城路と鳥取城全景　写真提供：鳥取市教育委員会

中ノ御門表門　写真提供：鳥取市教育委員会

現在は「中ノ御門渡櫓門（なかのごもんわたりやぐらもん）」復元工事が進行中で、完成は2025（令和7）年3月の予定です。鳥取城がかつての佇まいを取り戻していく過程にも注目です。

中ノ御門渡櫓門の復元ＣＧ　写真提供：株式会社戸田建設提供

詳細情報

名称	鳥取城址
住所	鳥取県鳥取市東町2
駐車場	鳥取城址お堀端駐車枠：6台（午前8時30分～午後10時） ※土・日・祝日のみ、鳥取県庁駐車場と県庁北側緑地駐車場の利用が可能。
アクセス	鳥取自動車道鳥取ICから約15分
ホームページ	https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1575443542873/index.html