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『e-Mobility World 2022』レポート(後編)―「普通の軽EV」を標榜するeKクロス EV。走りと価格は超スペシャル!

2022年6月23日更新

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『e-Mobility World 2022~湘南発e-Mobilityのある暮らし』に展示されていた三菱自動車のeKクロス EVは、いったいどんな軽EVなのか。

後編では、展示現場での説明員を務め、トークショーにも出演した三菱自動車・丸山剛氏のレクチャーを基に、この軽EVの魅力を概説。同時に、購入を真剣に検討しているという来場者のリアルな声も紹介する。

もはやEVは特別な
乗り物ではない!?

まずは、eKクロス EVの見た目から。

外観は、すでに発売されている軽自動車eKクロスとほぼ同じ。ダイナミックシールドの意匠でデザインされたフロントマスクにも大きな変化はない。フェンダーやリヤにEVバッヂがついていることに気づかなければ、エンジン車なのかEVなのかの見分けがほとんどつかない。

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室内も同様だ。

例えばインパネは、メーターこそ液晶表示に変わっているものの、総体的にはeKクロスとほとんど一緒。新しいEVとしての斬新な演出はまったくといっていいほど施されていない。

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なぜ、こういう形にしたのか。

三菱自動車は、EVはもう特別なクルマではなく普通のクルマと捉えている。それゆえ、eKクロス EVをeKクロスシリーズのバリエーションの中に組み込んで売り出すのが妥当と考えた。これによって、消費者はよりフラットな感覚でEV選択ができるようになる。それに、新しい意匠を施さないことは車両本体価格の抑制にもつながり、より購入しやすくなる……。

おおよそ納得できる説明だ。あえて大きな変化を持たせなかったことの良し悪しは、今後の消費者の判断に委ねられることになる(イベント後に、eKクロス EVの発売を6月16日とするニュースリリースが発信された)。

ちなみに前編で紹介したとおり、トークショーでは、まるも亜希子氏が「ガソリン車のeKクロスと室内の広さがほとんど変わらないのにも驚いた。普通、EVはバッテリーをたくさん積むのでスペースが狭くなるものだけど、そういうのがまったくない。とても使い勝手がいいEVだと思った」と語っている。

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長年にわたってベストを追求してきた結果でもある車室の在り方を大きく変えないことは、使いやすい状態を保つという側面もあるのだ。

軽ガソリンターボの約2倍のトルクが
快適・安全な走りを実現

次に走りの特長だが……。

これは乗ってみないとわからない。会場で興味深く眺めていた人たちも、試乗できないことについてはひどく残念がっていた。

ただ、明らかになっているスペックから、実力はある程度までわかる。

20kWhのバッテリーと47kW/rpmのモーターの組み合わせが生み出す最大トルクは195Nmに上る。これはeKクロスのガソリンターボ車の最大トルク100Nmの約2倍で、発進・加速の力強さは軽の領域をはるかに超えるものと考えられる。高速道路を含め、あらゆる状況の道路を非常に快適かつ安全に走れるのは間違いないだろう。

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気になる航続距離はWLTCモード(国土交通省審査値)で180㎞。この数値そのままとはいかないだろうが、エアコンをつけて走行した際のバッテリー消費についても手を打っているとのことで、実際の航続距離についてもある程度期待できると思われる。

「ガソリン車同等」を求める人にとっては物足りなそうなeKクロス EVの航続距離……。ただ、買い物や短い距離の通勤などの普段使いをすることが多い軽自動車ユーザーの1日の走行距離はだいたい50㎞そこそこ。長くても100㎞未満。それを考えれば十分な距離といえる。

例えば、片道50㎞圏内の会社にクルマで通勤する人にはうってつけだろう。道中、電欠の心配なく気持ちよく走れる。帰宅後、自宅で200Vの普通充電を行えば、夜間の8時間で満充電となり、翌朝、再び憂いのない状態で会社へと向かえる。しかも、多少の電気代はかかるにしても、ガソリン代がまったくかからないなど、ランニングコストがかなり抑えられる……。つまり、EVの恩恵をダイレクトに享受できるのである。

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なお、eKクロス EVには、クルマの電力を取り出すコンセントは付いていない。アウトドアでコーヒーメーカーやホットプレートなどの家電製品を利用したいときは、別売りの外部給電装置を購入し、充電口から電力を取り出せるようにする必要がある。残念といえば残念だが、車両本体価格のアップを抑制するためと考えれば、仕方がないことなのかもしれない。

東京都の住人なら
140万円弱で乗れる!

最後に、注目の価格について。

もう、そのお値打ち感は超弩級だ。

Gグレードで車両本体価格は2,398,000円。軽の最高グレードもしくは小型車の価格と同等だが、今、EV購入者には国から55万円の補助金が出るので、これを受ければ実質の支払い額は1,848,000円にまで下がる。

加えて各自治体が設ける支援制度も利用すれば、負担額はさらにダウンする(各自治体の支援制度は自治体により金額が違います。また、予算規模により対象台数に限りがある場合があります)。

最大級の助成金を設定している東京都に住んでいる人なら、実質価格は1,398,000円。これは驚き以外の何物でもないだろう。

補助金を活用したEVの参考価格

住む自治体によって助成金の事情は違うが、EVが実質価格にして100万円台で買えるという事実。優れた性能も含め、eKクロス EVはかなり「買い」の1台になっているのである。

走りのよさと価格の安さが
購入の決め手になる

さて、今回の会場でeKクロス EVを眺めていた人の中には、リアルに購入を検討する人たちが少なからずいた。

深澤学さん・かほりさん夫妻(50代)もそうした一組だ。

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このご夫妻は、試乗イベント会場の隣に広がるスマートシティ Fujisawa SSTにお住まいとのこと。自宅の電気を太陽光発電ですべて賄うなど、エコでサステナブルな暮らしを普通に実践しているらしい。

今回、試乗会にやってきた理由をこう語る。

「今のマイカーはトヨタのヴァンガードなんだけど、自宅の駐車場に充電設備があるし、カーボンニュートラルの時代でもあるので、そろそろEVに乗り換えてもいいかな、と」

会場では、気になるテスラのモデル3やヒョンデのアイオニック5などを見たり、乗ったりした。どれも走りは感動的だった。ただ、価格の高さがちょっとだけ気になった。

そんな中、軽EVのeKクロス EVの展示に出くわす。担当者に聞いたら、軽なのに力強いEVの走りを備え、かつ実質的に100万円台で購入できるクルマだという。それで俄然興味がわいた。それまでまったく知らないクルマだったが、乗り換え候補車として急浮上するに至った。

——航続距離は180㎞。実際にはもう少し下がるかもしれません。そのあたりは問題ないですか?

深澤 平日は近所に買い物にでかけるぐらいだし、週末に遠出するにしてもあまり遠くには行かないので、100㎞台でもたぶん大丈夫。もし、数百㎞離れたところに行くとなれば、Fujisawa SSTに備わっているカーシェアのクルマを使えばいいだけなので、特に問題はないですね。

——試乗して気に入れば、購入されますか?

深澤 今回、いろいろなEVに試乗してみたら、ワンペダル操作がすごく楽だったし、スーッといく走りが感動的だった。それと同じような感動がこのeKクロス EVにあれば、間違いなく購入を前向きに検討するでしょうね。国の補助金を利用すれば、実際の金額が180万円ぐらいまで下がるのも、かなり背中を押すと思います。

さて、決断やいかに。

現在、この深澤夫妻のみならず、かなり多くの人たちが購入検討を前提とした試乗を待っていることだろう。そうした人たちは、エコ意識が高い湘南だけでなく、日本全国に存在しているに違いない。

どうして、そう思うのか?

「普通の軽EV」であるeKクロス EVは、それほどまでに消費者に与えるインパクトが強い特別な1台だからである。

『e-Mobility World 2022』レポート

(前編)「エコが普通」の湘南での電動車試乗会。話題のeKクロス EVも顔見せ展示!

(後編)「普通の軽EV」を標榜するeKクロス EV。走りと価格は超スペシャル!

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