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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2022年1月27日更新
2021年12月14日、トヨタは今後のEV戦略に関する説明会を行った。
演壇に立った豊田章男社長は、以下のような発言をしている。
「トヨタグループは2030年までに30車種のBEV(バッテリーEV)を展開。グローバルに乗用・商用各セグメントにおいてフルラインでBEVをそろえる」
「トヨタグループは2030年にBEVのグローバル販売台数で年間350万台を目指す。その中でレクサスはすべてのカテゴリーでBEVのフルラインナップを実現し、欧州、北米、中国でBEV100%、グローバルで100万台の販売を目指す」
大変な数字の羅列である。350万台といえば、現在のトヨタグループの年間販売台数約1,000万台の3分の1以上に当たる。
ただ、これらはあくまでグローバル企業としてのトヨタが世界市場において目指す数字。業界人ならともかく、日本の一般ユーザーはそこまで驚く必要はないのかもしれない。
今後トヨタは、エンジンを搭載したHEV(ハイブリッド車)の販売が規制される国や、脱炭素効果が大きい再生可能エネルギーによる発電が盛んな国ではBEVをたくさん販売していくにしても、そうでない国、例えば日本では、これまでどおり、しばらくはHEVを中心とした多様な電動車両を販売するつもりだからだ。
事実、豊田社長は、こんなことを言っている。
「現時点では、地域によってエネルギー事情は大きく異なる。トヨタは各地域の、いかなる状況、いかなるニーズにも対応し、カーボンニュートラルの多様な選択肢をご提供したい」
EV戦略を発表する場だったこともあり、ダイレクトには言明していないが、規制が緩くて再エネ発電率が低い日本などでは、HEVを主力とした電動化を進めていくことをほのめかしているのである。
実は、今回紹介する『2022年版 間違いだらけのクルマ選び』内のクルマの電動化問題に関する記述も、基本的にトヨタの方針に準じたものになっていた。
「現実派」も「理想派」も
電動車の魅力に目を向けよう
本書の発行は2021年12月29日。さすがに12月14日に行われたトヨタのEV戦略の発表についての言及はないのだが、随所でEV戦略を発表する前から豊田社長が盛んに言っていた言葉をトレースしたかのような記述が並んでいる。
〈目的は電動化ではなくカーボンニュートラル〉
〈日本の自動車はどのようにカーボンニュートラルを目指すべきか。まずハイブリッドを中心に据えるのは不変〉
〈多様な選択肢を楽しめる未来に期待したい〉
〈乗用車はHEV、PHEV、BEVにFCEVを重量やサイズなどで使い分け、大型トラックやバスはFCEVに。趣味性の高いスポーツカーは内燃エンジンをeフューエルで動かし、レースは水素。そんな使い分けがいいのではないかというが今の私の見立て〉 etc.
〈特に強く印象に残っているのがメルセデス・ベンツのブースである。並んでいたのはほとんどがBEV、あるいはPHEVだったのだが、決して退屈なんかではなく、むしろクルマ好きとしては興味が募るモデルばかりだった〉
〈その内の1台、メルセデスAMG GT63S EパフォーマンスはV型8気筒4.0Lツインターボエンジンを積むPHEVで、システム最高出力は843ps、最大トルクは実に142.9㎏mにも達する。一方、バッテリー容量は6.1kWhと小さく、EV航続距離はたったの12㎞だという〉
〈メルセデスAMGのTEAM・テクノロジー・オフィサーに訊くと「EV航続距離を求めるユーザーにはメルセデス・ベンツに多くの選択肢があります。メルセデスAMGはあくまで高性能車のブランドなのです」という答が返ってきた。実際、出力とレスポンスが得られる電動化は、メルセデスAMGのようなブランドにとってピンチではなくチャンスだとも氏は話していた。何とも痛快な答えではないだろうか?〉
〈出展の多くが電動化車両だったのは、必ずしもIAAが変質したからというだけではない。ヨーロッパでは電動化はいつか来る恐るべきものではなく、今そこにある現実。未来の夢のクルマは、その先にある。そんなマインドシフトが彼の地のプレミアムメーカーの間ではすでに起きていて、電動化も新しいクルマの楽しみに変えようとしているのだ〉
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