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Book Review⑥『2018年版 間違いだらけのクルマ選び』(後編)~ 自動運転車は個人、メーカー、国の三位一体で走る!

2018年1月17日更新

書評2018‐1_トップweb

日産の最新自動運転実験車が公道走行を開始

日産自動車株式会社は、2017年の秋に、最新の自動運転実験車両の公道テストをスタートさせた。
その実験車両の概要はこうだ。

●12個のソナー、12個のカメラ、9個のミリ波レーダー、6個のレーザースキャナー、HDマップを搭載。これらを組み合わせて使用することで車両の周囲360度の情報と自車の正確な位置を把握し、交通量の多い交差点を含む複雑な道路環境を自動運転で滑らかに走行することが可能となる。
●実環境に存在する複雑な交通シーンを解析するAI技術を搭載。たとえば高速道路の料金所に近づくと、システムが走行可能なETCゲートを検出し、そのゲートを自動運転で通過することができる。

この実験車両には、これまで多くの自動車ジャーナリストが同乗試車(助手席に乗車)している。
『2018年版 間違いだらけのクルマ選び』の著者である島下泰久氏もその一人だ。
氏は、本のなかの「自動運転で社会をどう変えたいか。ヴィジョンが重要」と題されたエッセイで、そのときの体験談と、それに基づいた考察を述べている。

驚くほどの進化だが、課題も多いと指摘

まず著者は、以前の自動運転実験車両(2015年)からの急激な進化に驚いている。(※〈 〉部分は書籍からの引用、以下同様)
〈……飯島氏は運転操作、一切していない。助手席や後席の方を向いて、ずっと機能の説明をしているのである。結局、今回の一般道、首都高含めて約20㎞、30分ほどの試乗の間、一度だけ念のためドライバーがブレーキを踏んだことがあった以外は、ずっと自動運転が行われたのだった〉

〈単に走ったというレベルではなく、前後左右の車間の調整やコーナーでの滑らかなライン取りなど、運転の質自体が格段に洗練されていたのにも驚いた。カメラ映像を判断するのではなく、それとHDマップを組み合わせて走行しているのが、そのポイント。もはや乗っていて、危なっかしく思える場面は無く、走り出して数分もしたら、クルマが自動でコーナーを曲がろうと車線変更しようと違和感はなくなっていた。すでに技術はこんなところまで来ているのかと、驚くしかなかった〉

これを読むと、一般向けの自動運転車の実現がもう間近であるかのように思えてくる。だが、著者は、その体験談のあと、〈但し、同時に課題も見つかった〉と書いている。

それは、〈高速道路への合流では車列の隙間をうまく見つけられないと失敗することもある〉〈一般道では青信号での右折が、まだ出来ない。現状で可能なのは右折矢印が出る信号でだけ〉といった課題。そんなに数は多くはないものの、それぞれけっこう深刻な課題といえる。

じつはエッセイの冒頭、著者は〈本当に自動運転を実現することは、やはり簡単ではないよなと改めて思うのだ〉と書いているのだが、その理由が、ここで明らかになるというわけだ。

EVも自動運転車もクルマ単体では走れない

ただ、だからといって、エッセイはそのまま終わらない。自動車ジャーナリストらしく、解決の方向をしっかりと提示してくれている。
ポイントは、〈やはりインフラ側の整備〉だという。
〈インフラ整備には国の介在が必要になる、IT関連の専門家たちは、すぐに「IoT」を活用すればいいと言う。……(中略)……しかし実は、仮に明日から売る新車すべてに通信機が載ったとしても、路上を走るすべてのクルマに普及するには数十年はかかると言われている。むしろインフラ整備の方が動けば早いのだ〉

前編で、著者がEVの普及を進める際は、クルマ単体のことだけを考えるのではなく、未来の社会のあり方を視野に入れるべきとの論を展開していることを紹介したが、この自動運転車についても社会の問題として捉えるべきだと主張しているのである。
しかも、ここにおいてはユーザーの係り方も問うている。
〈……何より私たちユーザーも、クルマがこの先の時代にどんな幸せをもたらし得るのか、私たちはクルマを通じてどんな幸せを実現したいのか、真剣に考えるべきだろう。そうした声が集積していけば、自動車メーカーだって国だって動いていくはずである〉

正直なところ、この論を現段階で深くまで理解することは難しい。だが、EVや自動運転の時代というのは、クルマというモノありきで簡単に実現するわけではないという指摘には頷かされる。個人、メーカー、国といった社会全体でつくりあげていかなければ、いくらいい技術を搭載したクルマが出現しても理想的な姿にはならないだろう。

メーカー側の取り組みばかりに気を取られがちなEVや自動運転車だが、ここはひとつ、使い手であるユーザーも気合いを入れて、その進化に組みする努力をはじめるべきかもしれない。「こんな風になってほしい」。そんな簡単な一言を発することでもいいから。

(文:みらいのくるま取材班)

Book Review⑥『2018年版 間違いだらけのクルマ選び』(前編)~EVを販売台数で語るのではく、夢の実現度で語ろう!

書評2018‐1_本web

『2018年版 間違いだらけのクルマ選び』
・2017年12月21日発行
・発行:草思社
・価格:1,400円+税

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