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『東京モーターショー2019』ルポ(1) もうすぐ欧州で“セカンドカー”として走りだすリアルなEVたち

2019年11月11日更新



『第46回東京モーターショー2019』が、2019年10月24日から11月4日まで開かれた。

2年に一度のモータショー。今回は、会場を有明エリアの東京ビッグサイトと青海エリアの各種施設に分けての開催だった。

東京ビッグサイトではトヨタ以外の主要自動車メーカーや部品メーカーなどが展示を行い、青海の会場ではトヨタと各種団体・企業が展示を行ったほか、新しい試みとして子どもや家族向けのイベントも実施されるなど、これまでにない企画を試みたモーターショーとなっていた。





国内メーカーの電動車展示が充実

今回のモーターショーでは、これまで常連だったフォルクスワーゲンをはじめとする海外の主要自動車メーカーの多くが出展を控えることになった。そのため事前に「クルマ自体の見どころは少ないだろう」との憶測報道が数多く飛び交っていた。

われわれ“みらいのくるま”取材班も、その報道に影響されるところもあり、何となくではあるがテンションが上がらぬままに会場を訪れることとなった。

だが、百聞は一見に如かず。会場に行ってみると、憶測とは別の現実が立ち上がってきた。確かに展示車両のバラエティ性と数はかなり減った印象はあったが、国内自動車メーカー各社の展示内容が、われわれに「今に続く“みらい”」をしっかりと指し示してくれたのだ。

とくにEVやPHEVの電動車の展示が充実していた。

モーターショーといえば、「いつかこんな風な理想的なクルマをつくる」といった感じで、あまり現実的ではないカッコいいコンセプトカーがたくさん展示されるのが常だ。ところが、今回、電動車に関しては「来年に発売となるEV」や「近いうちに発売されるPHEV」などのリアルな車両の展示が数多くなされており、そのインパクトが「ズシン!」と感じられた。

「本格的な電動車時代の波はもう汀まできている」。
今回のモーターショーのテーマである「OPEN FUTURE」というワードの意図を、われわれは早々に感じることとなった。

カワイイだけじゃない
ホンダの『Honda e』

ホンダ初の量産型EVの『Honda e』は、「来年に発売となるEV」の一つとして展示されていた。



前回のモーターショーで現行のデザインとほぼ同じスタイリングのコンセプトカーを展示し、先のフランクフルトモーターショーでは今回の展示車両と同じものが披露されていたので、ニュースとしての目新しさはない。だが、i-MiEVとリーフに続く日本メーカー発のリアルな量産型EVの展示という事実は、とてもポジティブだ。

ブースにいた説明員に話を聞いた。

――カワイイ一台ですね。

「はい、Twitter上では『ホンダe、カワe』という感じで盛りあがっています(笑)。ただ、カワイイ顔のわりにRR(リアエンジン・リア駆動)のEVなので、めちゃめちゃ走りがいいんですよ」

――欧州そして日本で発売されるとか。

「そうです。来年度中にイギリス、ドイツ、フランス、ノルウェーほか、欧州でホンダの販売網がある地域で発売し、そのすぐ後に日本でも発売となる予定です」

――なぜ、ヨーロッパ先行販売となったのでしょうか?

「メーカーとして、ヨーロッパで導入されている厳しいCAFE規制(自動車メーカー別の平均燃費基準の規制)に、早急に対応しなければならないという課題があるからです。そして、もちろん、市場のEVニーズへの対応ということもあります」

――ヨーロッパでは、どんなユーザーがEV、特にこのeのようなクルマを求めているんでしょうか?

「やっぱり環境意識の高い方ですね。それで、このクルマに限って言えば、そうした意識を持ちつつ、主に買い物など街中での“チョイ乗り”が多いお客さまということになります。このeは35.5kWhのバッテリーを積んでいて、航続距離が220㎞ぐらいなので、そういうお客さまにとってはピッタリのポテンシャルを持ったクルマといえるのではないでしょうか」

――ヨーロッパでは日常的にロングドライブをするユーザーが多いというイメージですが、チョイ乗り需要もあるということですね。

「そうです。ですから、二台目としてEVを購入されるご家族が主なターゲットとなります。一台、ロングドライブがこなせるハイブリッド車などを所有していて、二台目としてこのeを選んでいただければいいかな、と」

――価格は?

「だいたい400万円ぐらいです。ドイツなどでのEVの補助金は50万円程度なので、差し引くと350万円ぐらいになります」

――チョイ乗りのために350万円を払ってクルマを購入するということは、比較的リッチな家庭が対象となるということでしょうか?

「まあ、現時点ではそういう傾向になることは否定できませんね」

――このEVの特長を教えてください。

「いろんな先進機能がついたEVなのですが、特にバッテリーの温度管理をする仕様になっているところは、これまでのEVとは大きく違う特長といえます。バッテリーは熱によって性能が落ち、寿命も短くなるわけですが、それを適切に管理できるようにしているのです」

――ちなみに、充電口がボンネットの中央に上を向いて付いていますけれど、雨の日の充電に差し支えはないんですか?

「それ、よく質問されます(笑)。はい、ちょっとやそっとの雨でもまったく問題ありません。まあ、豪雨のときはさすがにオススメできませんが。それは、充電口がボディの横に付いていたって同じことですから」



マツダの新EV『MX-30』は
ヨーロッパで予約開始!

マツダの『MX-30』も、「来年に発売となるEV」の一つだった。



マツダはこれまでエンジン車にこだわっているメーカーのイメージが強かっただけに、いきなりのリアルな量産EVの展示、しかも世界初公開ということでかなり驚かされた。このEVシフトの背景には何があるのだろうか?

ブースにいた説明員に、そのあたりを含めて話を聞いた。

――これは、リアルなEVなんですよね?

「そうです。展示されているのはデザインモデルなので実際の機構は組み込まれていませんが、見た目は、来年の後半にヨーロッパで売られる量産車とほぼ同じです。実は、この10月23日から、ヨーロッパでは予約を受け付けています」

――前回のモーターショーでもそれ以降も『MX-30』のコンセプトモデルは発表されていませんでした。それなのに今回、いきなり実車展示、そして予約開始までしてしまうとは驚きです。

「まあ、必ずしもコンセプトカーを仕立てておいて数年後に量産車を出すという流ればかりではないということ。クルマの市場投入には、いろいろなやり方があるんですよ(笑)」

――そもそもマツダさんはエンジン車にこだわるイメージが強かった。それがEV開発と発売に踏み切ることになったのは、社内の方針に何か変化があったからなんでしょうか?

「以前から、われわれはCO₂排出削減を実現するためにマルチソリューションのパワートレイン施策を鋭意進めてきました。そして、それに則ってガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車、ハイブリッド車、EVを開発してきました。今回は、その一つであるEVが、予定どおりに発表を迎えたというだけです。ヨーロッパ販売を先行させるにあたってはCAFE規制への対策意識はあったにしても、社内の方針に変化があったということではありません」

――ヨーロッパでは、どういうユーザーに向けて販売するのですか?

「このクルマのバッテリー容量が35.5kWhで航続距離が約200㎞となり、価格はドイツでは3万3,990ユーロ(日本円で400万円弱)となるのですが、長距離を走るための内燃機関のクルマを一台もっていて、そのうえで近場を走るためのセカンドカーとしてEVを選ばれる方を主な対象にしています」

――実は、EV性能とセカンドカー需要という話はホンダブースで聞いた話と重なります。やはり、環境意識が高いヨーロッパのユーザーは、セカンドカーにEVなど電動車を選ぶ傾向があるのですか。

「まあ、大きなEVはともかく、CセグメントのEVについてはそういうことがいえると思います」

――では、この『MX-30』のアピールポイントを教えてください。

「EV性能はもちろんいいんですが、ユニークさでいうと観音開きドアになっている点があげられます。弊社が2003年に出したRX-8も観音開きドアでしたが、今回、新たなEVでもそれを採用しました」

――観音開きドアには、乗り降りや荷物の上げ下ろしがしやすいというメリットがありますね。

「はい、でも、それだけじゃありません。例えば、どこか緑の多い場所にドライブにいって、そこでドアを全開にして気持ちのいい時間を過ごすことだってできるわけで、環境を大切に思ってEVを購入された方にとっては、とてもいいカタチのクルマということになると思います」

――なるほど、確かに想像するだけで気持ち良さそうです。そういう気持ちのいいクルマ、日本にはいつごろ投入される予定なんでしょうか?

「計画中というレベルなので、時期ははっきりとはいえません」

――もしかして、今回のようにいきなり登場させるってことはないですか?

「あははは。さて、どうなるでしょうか」



ホンダもマツダも、同じようにヨーロッパのCAFE規制への対策を意識しつつ、セカンドカーとして販売する戦略のもとでリアルなEVを発表したわけだが、後日読んだある記事では、これをとりあえず規制に対処するための過渡的かつ暫定的なEVと捉え、「まだ本腰を入れた製品とまでは言えない」と腐していた。

まあ、たしかにそういう側面はあるかも知れない。だが、これらを含め国内外で販売されるEVのバリエーション=選択肢が急激に増えていくのは紛れもない事実。素直にEV時代到来の証と捉え、前向きに評価してもバチは当たらないだろう。

(1) もうすぐ欧州で“セカンドカー”として走りだすリアルなEVたち

(2) ぶっちぎりでEV化するか、じわじわとEV化するか、それが問題だ!

(3) スズキはいつかきっとリーズナブルな電動車を国内で発売する!

(4) 三菱は進化形のPHEVシステムや電動4WDでSUVを過激に変えていく!

(5) タイヤもCASE時代にふさわしい革新的な進化を遂げてゆく!

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