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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.30 「ゾーン」での違反と事故にご用心!(中編)

2019年7月26日更新



1972年から運用されている
スクールゾーン施策

スクールゾーンの存在は、免許をもっている人ならだいたいだれもが知っています。しかし、どういう特徴があり、どんな交通規制があるかといった細かい内容について問うと、みんな「えーと、……」と言葉に詰まります。
そう、知っているようで知らないのがスクールゾーンなのです。

ということで、以下、スクールゾーンについて知っておくべきポイントを確認することにしましょう。

ここでは、JAFの資料を参考にしたいと思います。
JAFの資料には、スクールゾーンは「交通事故から子どもたちを守るために設定された交通安全対策の重点地域の呼び名」(JAF資料より引用)であるとした記述があります。
そして、その目的(=交通事故から子どもたちを守る)を果たすために、けっこうな昔からさまざまな施策が積極的に行われていることが書かれています。

“歴史は古く1970(昭和45)年公布の交通安全対策基本法第二十四条が法的根拠となり、1972(昭和47)年春の全国交通安全運動から運用が開始されました。”

“2002(平成14)年4月には、これまでのスクールゾーンをより安全な地域としていくため、文部科学省主導のもと学校や教育委員会への働きかけが行なわれています。これにより、横断歩道やカーブミラーの新設、歩道の拡張、さらには路面標示の増強などが実施されました。”

以下の写真にあるような標識や路面標示はその一例ということになります。

③web

④web

スクールゾーンは
小学校から半径約500mの範囲

では、このスクールゾーン、どのような区域が対象となるのでしょうか?
基本は小学校周辺の区域なのですが、その範囲の大きさを把握するための目安となる数値があるようです(以下、JAF資料による)。
“スクールゾーンは小学校を中心とした半径約500メートル程度の通学路が対象です。”

“自治体や市区町村によっては小学校の通学路だけでなく、幼稚園や保育園の通園路などもスクールゾーンの対象となることがあります。”

スクールゾーンweb

半径500メートルの円(区域)というと、それなりに広範囲なわけですが、じつは前編で紹介したゾーン30のなかに、このスクールゾーンが含まれていたりすることがけっこうあります。よく考えれば、両ゾーンの設置条件は非常によく似ているので、当然といえば当然でしょう。

ですから、ゾーン30に進入したときは、近くにスクールゾーンがあるかもしれないと想像しながらクルマを運転することが大切です。Aくんにはそれが欠けていました……。

⑤web

おもな交通規制は
時間指定のクルマの通行禁止

気になるスクールゾーンの交通規制については、どうでしょう?
これまで並べた標識などの写真でだいたい察せられるかと思いますが、改めて確認すると以下のようになります(JAF資料の引用)。
“スクールゾーンの代表的な交通規制は、時間指定の車両通行禁止です。登下校時の時間帯に通学路を歩行者専用道路にするため、車両通行禁止となります。”

標識や路面標示に書かれた時間内はクルマは通行してはいけないことになっているのです。非常にシンプルでわかりやすい規制です。

ただし、この車両通行禁止の時間指定は地域によって異なるので、その点は注意が必要です。
車両通行禁止の時間指定が朝の7:30ー8:30となっている区域があれば、7:30ー9:00となっている区域があったりします。そして、ときにはそこに13:00-15:00といったように午後の時間帯の車両通行禁止が加わることだってあるのです。

⑥web

慣れない土地でクルマを走らせていて、スクールゾーンに差し掛かったときは、標識や路面標示に書かれている車両通行禁止の時間帯をしっかりと確認するよう心がけましょう。

ゾーン内の住人などには
通行許可書が発行されることがある

ドライバーとしてスクールゾーンについて知っておくべきポイントはだいたい以上ですが、もうひとつ知っておいて損はないことがあるので、それもついでに付け加えておきたいと思います。

⑦web

Aくんの話をプレイバックします。

Aくんは、指定時間内の車両通行を禁止するスクールゾーンに差し掛かったとき、一瞬、良心が働いて進入することを躊躇したわけですが、ゾーン内から一台のクルマがゆっくりと堂々と走行してきたのを目撃したことで「そうか、もう8時20分なので、通学している小学生がいないんだ。だから指定時間内でもクルマを走らせているんだ。だったら、走っても問題ないかな」と思うに至り、進入(違反)を決行することになりました。

この、Aくんの気持ちを大きくさせてしまったクルマは、いったいどんなクルマだったのでしょうか?

もちろん、単なる違反車だったという可能性は否定できません。ですが、ゆっくりと堂々と走行してきたことを考えると、通行禁止時間帯のスクールゾーンでの通行を許可されたクルマだった可能性のほうが大きいといえそうです。

じつは、スクールゾーン内に住んでいる人のクルマや、やんごとなき事情を抱えたクルマなどには、しかるべき手続きを行えば地元の警察から通行許可書が発行されます。JAFの資料にはこうあります。
“指定時間帯に規制区域を走行できるのは、通行許可証を受けた車両と、緊急車両・道路維持作業車両などに限られています。規制区域内の居住者であっても、指定時間に通行する場合は通行許可証が必要です。”

Aくんは、このことを知らなかったがために「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の気持ちになり、違反を決行、そして事故を起こしてしまったというわけです。

みなさん、スクールゾーンの車両通行禁止の指定時間内は、絶対にゾーンに進入しないようにしましょう。もし、クルマが走っているのを目撃しても、それは通行を許可されたクルマである可能性が少なからずあることを理解しておきましょう。ゆめゆめ、「僕も」「わたしも」とならないよう気をつけてください。

「ゾーン」での違反と事故にご用心!(前編)

「ゾーン」での違反と事故にご用心!(中編)

「ゾーン」での違反と事故にご用心!(後編)

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