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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2018年7月5日更新
非会員の運転による事故は
保険適用の対象外となる
Yさんが犯した大いなるまちがい。それは、友人に向かって「悪いんだけど、帰りの運転、代わってくんないかな。大丈夫、カーシェアリングのクルマって、すべて保険がかかっているからさ」と気軽にいい放ち、友人に運転を任せたことでした。
じつは、どのカーシェアリング会社も、非会員が自社のクルマを運転することを固く禁じています。利用規約にも、その旨がはっきりと書かれています。しかし、Yさんは、自動的に保険が付保されている安心感からか油断からか、利用規約を忘れ(最初から気にしていなかった可能性が大ですが)、非会員の友人に運転を頼んでしまいました。しかも、その友人は運転経験が浅く、図ったように事故を起こしてしまったのでした。
規約違反をして非会員が運転し、事故を起こすとどうなるかというと、もう悲劇そのもの。規約に定められた保険適用の対象外となるため、自腹で補償金をださなければなりません。
「同じ保険がかかっているクルマなのに…」と思われるかもしれませんが、こればっかりはどうにもなりません。
保険会社が補償を立て替え
あとで規約違反者がその分を返済
ただ、この場合、無保険車による事故ではないので、補償の流れは少し変則的なものとなります。
無保険車が事故を起こした場合は、加害者から被害者に直接補償をすることになるわけですが、カーシェアリング会社のクルマは保険に入っているので、まず、被害者に対しては保険会社から補償がされます。そもそも保険は迅速に弱者あるいは被害者を救済するという側面をもっているため、社会的なコモンセンスに則り、そうした措置がとられるのです。
しかし、だからといって、利用規約を破った人が自腹の補償を免除されるわけではありません。保険会社は補償金を“立て替えた”だけで、その分はあとできっちり規約違反者に請求するのです。
今回のケースにおいても、Yさんと友人はそれぞれが補償のお金を保険会社に返済することになると思われます(割合はケース・バイ・ケース)。
余談になりますが、このような顛末となった場合、自分が支払う分の金額を減らすべく、両者が責任のなすりつけ合いをすることがあるようです。そうなると、友人関係に亀裂が走るのは必至で、さらなる悲劇の到来ということになってしまいます。とても残念な話です……。
カーシェアリングというクルマの利用形態が当たり前になりつつあるいま、今回のYさんのようなケースが増えていくことが予想されます。
保険に関する知識をうろ覚えのまま、軽い気持ちで非会員にカーシェアリングのクルマを「運転させる」、あるいは自分が非会員だった場合に(規約違反を犯して)「運転する」という行為は、絶対にしないようにしましょう。
カーシェアリング車で非会員が事故。補償はどうなる?(前編)
カーシェアリング車で非会員が事故。補償はどうなる?(後編)
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