達人に訊く（5）渋滞時のATセレクトレバーは、［2］か［L］がグッド！ – ちょっとだけ快適！

2021年3月18日更新

今月の達人
ユサワ自動車・湯澤孝典

こんにちは、栃木県にあるロータス店『ユサワ自動車』の湯澤孝典です。今回から5回にわたって、わたしなりの「ゆたかなカーライフのためのヒント」をご紹介してゆきます。第１回は、「渋滞時のセレクトレバーのベストポジションは？」というテーマについて、けっこう目からウロコの話！。今回は、その前編です。

［２］と［Ｌ］の効用は坂道だけじゃない

AT車のセレクトレバーには、［D（ドライブ）］の一つ下に［2（セカンド）］あるいは［L（ロウ）］がありますよね。みなさんは、このポジションを、どんなシーンで使ってますか？

「ええと、きつい登り坂のときと、長くて急な下り坂を運転するときかな……」

はい、正解です。
［2］や［L］は、登りのときは力強いエンジンパワーを発揮し、下りのときはエンジンブレーキが効くので、坂道を運転するにはうってつけなんですね。

でもですね、じつは、正解はそれだけじゃないんです。
平坦な道でのひどい渋滞のときに［2］あるいは［L］を使うと、けっこうよかったりします。これは、ここ10年ぐらいのエンジン車に限った話なのですが、ちょっとだけ快適に運転できて、ちょっとだけ燃費もよくなるという意外な効果がでてくるんです。

エンジンブレーキのおかげで
足が疲れないしガクンガクンしない

今回は、どうして「ちょっとだけ快適」なのか、説明しましょう。
ひどい渋滞のときに［D］に入れたままだと、こんな感じの運転になります。
①前のクルマが5～10メートルほど進む →　②自分もそれに従って5～10メートルほど進む →　③前のクルマが止まる →　④自分もギュッと強めのブレーキを踏んで止まる。そして、①～④が延々と繰り返される……。

渋滞時にありがちな運転風景と思われるかもしれませんが、そうではありません。強めのブレーキを踏んで止まらなくてはいけないところが［D］ならではの困ったところです。これだと、足が疲れるうえ、ガクンガクンとなるクルマの挙動がとても不快に感じられます。

なぜ、こうなってしまうのか。
最近のAT車は昔のとはちがい、［D］のポジションで少しでもスピードがでると、燃費を稼ぐためにすぐにギアがアップしていくようになっており、アクセルを離したとしてもエンジンブレーキがかからずにスーッと空転する感じで前に進むようになっています。そのため、たとえ短距離の前進のときでも、止まるときはギュッと強くブレーキを踏む必要がでてくるというわけです。

じゃあ、どうすればいいのか。
渋滞のときは、セレクトレバーを［2］あるいは［L］に入れればいいんです。
前のクルマとの間を詰めるためにアクセルを踏んだあと、それを離すとエンジンブレーキがかかった状態でトロトロと進むことになるので、止まるときには軽くブレーキを踏むだけで済みます。足が疲れないのはもちろん、挙動がガクンガクンしないというメリットまで生まれてきます。つまり、渋滞自体の不快さは解消できないとしても、［D］のときよりもちょっとだけ快適に運転ができることになるのです。

これは、運転する人だけでなく、同乗者にとってもウエルカムな状態。酔いやすいお子さんを乗せているときや、デートのときなんかもとってもグーな効果をもたらすはずです。

（次回、「ちょっとだけ燃費もよくなる」というお話をします）

お店紹介
ユサワ自動車：1979年に創業した栃木県栃木市にあるロータス店（全3店舗）。創業者の湯澤善市会長が掲げているモットーは「地元のお客さまと美しい環境を大切にする」というもの。息子である湯澤孝典社長（31）もそれを踏襲＆発展させながら商売を展開している。2015年には環境指向型整備工場として運輸局長表彰を受賞。

住所：栃木県栃木市西方町真名子1113
電話：0282-92-8377（代表）
ＨＰ：http://yusawa.co.jp