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クルマのことならなんでもガイド
2016年9月30日更新
今月の達人
ワークスヤグチ・矢口雅恵
前回は、3,000~5,000㎞走ったら必ずエンジンオイルを交換するようにしましょうというお話をしました。今回は、そこから一歩踏み込んだお話。じつはエンジンオイルって、交換しさえすればOKってものでもないんです。エンジンに合った種類を選ぶことがけっこう大切だったりするんです。
エンジンオイルには
粘度によるちがいがある
みなさんは、エンジンオイルにいくつか種類があることをご存じですか?
メーカーのちがい? ええ、それもありますね。
でも、ここでいう種類とは、そういうことではありません。エンジンオイルは、使用する環境やエンジンの特性に合ったものを入れる必要があり、それに対応するため、同じメーカーのものでもいくつかの種類が用意されているのです。
大きな分類ではガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用のエンジンオイルの別があるのですが、その選択でまちがえる人はあまりいないでしょう。なので今回は、粘度のちがいによる種類の別とその選定の目安について解説します。
粘度は数字で示される
下に示した「10W-30」というのは、一般的によく使われているエンジンオイルの記号です。
前半部分にあるWは、Winter=冬の略。その頭につく数字は、どれくらいの低温までオイルが固まらないかという低粘度の性能を示しています。具体的には、10であれば零下25℃、5であれば零下30℃、0であれば零下35℃までOKということになっており、数字が小さいほど寒さに強いということができます。
そして、後半の数字は高温時(100℃)の高粘度の性能。市販されているものの多くは16~60のあいだの設定になっているのですが、数字が大きくなるほど熱くてもオイルが固い状態を保つことを示しています。
これらのなかから、さて、自分はどのエンジンオイルを選べばいいのだろうかとなるわけですが、じつはこれが意外と難しいのです。
「10W-30」が一般的だけど・・・
基本的には、低粘度であるほど(Wのつく数字が小さいほど)、始動性に優れ、燃費がよく、ファミリーカーに最適で、冬向きであるとされています。そして、高粘度であるほど(後半の数字が大きいほど)、高速性能がよく、耐摩耗性があり、スポーツカーに最適で、夏向きであるとされています。つまり、車種、使い方、季節などを加味しながら、最適な粘度数値のエンジンオイルを選ぶがいいとされているのです。
だけど、普通のドライバーが、そこまで細かく使い方などを考慮してエンジンオイルを指定するのは大変です。それはエンジンオイルを交換する業者も同様で、そこまで細かいフィッティングまではしてくれません。だから、たとえばガソリンスタンドや量販店でオイル交換を頼んだとしたら、中間の数値のものである「10W-30」とかを入れられることが多くなります。中間のものを入れておけば、とくに大きな問題が起こらないだろうと考えられているからです。
実際、公道を走る普通のクルマであれば、中間のものを選んでおいても、そう大きな問題は起こりません。わたしたちの工場でも、なにも指定がなければ、そうすることはしばしばあります。ただ、それが特別な走りを求めているクルマであったり、メーカー推奨のオイルがはっきりとしている場合は、それに適合したものをオススメするようにしています。なかには多少値段の張るものもあるのですが、それがクルマのため、お客さまのためになるからです。
アクアのオイルは
「0W16」と超サラサラ
最近では、とくにエコカーにおけるエンジンオイルの推奨(指定)がとてもシビアです。なので、わたしたちも必ずそれに合ったものをオススメするようにしています。前回でも紹介しましたが、エコカーのエンジンは非常に繊細。エンジンオイルの粘度がちがうだけで燃費の多寡が大きく左右されることになるので、それを無視するわけにはいかないのです。
わかりやすいところでは、トヨタのアクアの例があげられます。このクルマで推奨されているのは、なんと「0W16」という非常に低粘度のサラサラのエンジンオイル。これに無造作に「10W-30」を入れることはできないでしょう。そんなことをしたら、燃費の悪いエコカーができてしまい、結果的にお客さまに損をさせることになってしまいます。
ということで、冒頭でいった「エンジンオイルって、交換しさえすればOKってものでもない」ってこと、よくおわかりいただけたかと思います。とりわけ、燃費追求型のエコカーに乗っているみなさん、どうかオイルの選定にはお気をつけください。どこか手軽なお店に立ち寄って、「(なんでもいいから)エンジンオイルを入れてほしい」なんていう大ざっぱな注文をするのはやめましょう。そんなことをしたら、粘度が高くて、燃費が悪くなるエンジンオイルを入れられてしまう可能性が十分にあります。そうではなくて、ぜひ、わたしたちロータス店に立ち寄って、「このエコカーに最適なエンジンオイルを入れてほしい」と直球の注文をするようにしてください。数字を覚えていなくても大丈夫。わたしたちは、ちゃんとそのオーダーにお応えします!
お店紹介
ワークスヤグチ:1929年に創業。創業者の矢口斎之助と二代目の矢口建雄社長が追求してきた「技術第一主義」によって、地元で厚い信頼を獲得してきた。三代目の矢口雅恵チーフ(かつて大学で西洋美術を研究していたが、卒業後にトヨタ学園に入って整備を学んだ)は、そこに女性らしい細やかなサービスを加えながら、より魅力的な整備工場づくりに尽力している。
住所:茨城県小美玉市竹原1727-3
電話:0120-589-891 ※携帯電話からは0299-49-1021
HP:http://www.wyaguchi.com
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