ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」
タウン・ギャラリー<今月のアーティスト>
2016年5月13日更新
「タウン・ギャラリー」では、キュレーターの独自の視点で選んだアートを連載で展示しています。時代に寄り添ったり、寄り添わなかったり、気ままな展開をお楽しみください。
さて、1970年代から80年代にかけて、小森誠さんのイラストレーションは、『ポパイ』をはじめ一時代を画した多くの雑誌の表紙を飾り、特集グラビアを飾りました。彼の描く「男たち」の顔はまさに時代の風をまとっていました。
最終回の今回は、番外編「ロボット」です。80年代、小森誠さんはたくさんのロボットも描きました。小森さんのロボットは、明るい未来のロボットではなく、壊れた未来のロボットでした。テキパキとよく働くロボットではなく、どこか哀愁に満ちて、途方に暮れたようなロボットでした。あれから約30年、あのときの「未来」は、いまどうなっているでしょう。
(キュレーター:佐藤二式)
小森さんのロボットに新品はない。中古ロボットが浜辺でスイカを売ってます。ビーチの暑さに機械油が溶け出しそう。
その昔はラジオのDJで活躍したけれど、時代は移って、いまはバーの呼び込み。声がいいとおだてられて、この仕事。
スノボのイントラ・ロボット。客がこない。オイルが凍らないようにヒーターを効かせてるので、猫がやってきて膝の上で寝ちゃってて、困った。
使い倒されて旧式になったので、移動できないように屋根の上に固定されて、風見鶏の代わりをさせられてます。けっこう幸せかも。
スポーツ界の元スーパーのところに、ファンからカードが届いた。定期健診で合格したばかりの老ロボットがちょっとうれしい瞬間。
小型パーティ・ロボット。背中に羽根もあって、パーティ会場を飛び回って給仕する。かたずけの時間になったけど、あれ、一人(一台)見つからない。
海底調査中に生命反応を感知。何かと思えば、バッタでした。しばし任務を忘れ、バッタを観察。
悩めるロボット。追加、追加で新機能を付加されて、かえって調子が悪くなってしまった。うーん、頭が重い。腰も思いよお。
【作者プロフィール】
小森 誠(こもり まこと)
1948年、京都府生まれ。子供のころから、紙と鉛筆を持たせると自動車を描いていた。大阪デザイナー学院卒業後、イラストレーターを目指し、大阪の広告事務所で一年ほど勤める。1975年、東京に場所を移しフリーとなる。『ポパイ』『ターザン』『カーアンドドライバー』『カーマガジン』など多くの雑誌で活躍。最近では「ダットさん」「はたらくくるま/みちをつくる」(ともに教育画劇刊)や「バルンくん」(0.1.2.えほん刊)といった絵本にも力を注いでいる。
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