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次世代エコカー勉強会〈5時限目〉水ーっと走るよ、燃料電池自動車【前編】

2021年3月18日更新

黒板5限目-2

燃料電池自動車(FCV)は遠い未来のクルマだとばかり思っていたら、トヨタとホンダが発売に踏みきった。本格的な普及はまだまだだろうけれど、これは見過ごせない状況。というわけで、前編と後編に分け、燃料電池自動車の概要を学んでゆこう。

【名称】燃料電池自動車と水素自動車は違う!?

まずは、言葉の問題から。

世の中には、水素を供給して発生させた電気で走る燃料電池自動車のことを「水素自動車」と呼ぶ人がいる。おそらくそのほうがシンプルでわかりやすいからだろう。

でも、そう呼ぶのはあまり望ましいことではない。なぜなら、水素を供給してそれを燃焼させて走るエンジン車も「水素自動車」と呼ばれているから。これは、まだ実用化には至っていないものの、かなり前から研究が始まっていて、今も鋭意続けられている。そう簡単に無視できる存在ではないのだ。

というわけで、皆さん、なるべく燃料電池自動車という名称を使うよう努力されたい(水素以外の燃料を使う燃料電池自動車ものがあるが、それについてはとりあえず度外視)。

【現況】遠い未来がいきなり現実となりつつある

2014年の12月、トヨタが世界初の量産型セダンの燃料電池自動車「MIRAI」を発売した。

それから1年あまりの2016年3月には、ホンダが世界初の5人乗り燃料電池自動車「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」を発売した(最初はリース販売)。

そうした中、国も燃料電気自動車の大々的普及を後押しすべく、水素ステーションなどのインフラ整備に積極的に取り組もうとしている……。

燃料電池自動車は、かなり遠い未来のクルマだとばかり思っていたら、いつのまにかスイーっと公道を走りはじめているのである。

トヨタのMIRAIは世界初の量産型セダンの燃料電池自動車

トヨタのMIRAIは世界初の量産型セダンの燃料電池自動車



ホンダのCLARITY FUEL CELLは世界初の5人乗り燃料電池自動車

ホンダのCLARITY FUEL CELLは世界初の5人乗り燃料電池自動車



【仕組み】水素と酸素でつくる電気でモーターを回す

理科の授業で習ったので、おぼえている人も多いと思うが、水素(H)2個と酸素(O)1個が化学反応して結合すると水(H2O)になる。そして、その際には電気が発生する。

燃料電池自動車は、この現象を利用したクルマだ。図にあるように、クルマに流れ込んでくる空気中の酸素と、水素タンクに充填した水素を燃料電池の中で反応させて電気をつくり、それでモーターを回して走る。実は、これを可能にするための技術は相当に難しいらしいのだが、全体の大まかな仕組みそのものはとてもシンプルなのである。

なお、電気でモーターを回して走るという点では電気自動車(EV)と同じ。だが、電気自動車が外部から電気を持ってくる必要があるのに対し、燃料電池車はいうなれば“自車発電”するクルマ(水素を外部から持ってくる必要があるが)。その点においては大きな違いがある。5_LAB図NEW

【エコ性能】水しか排出しないから環境にいい

燃料電池自動車からは、水素と酸素の結合でできた水以外は何も出ない。ガソリン車のような排ガスは一切なく、当然、地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)もでない。だから、究極のエコカーと言われている。

ただ、現状では、水素を主に石油や天然ガス、石炭などから取り出しており、その課程でたくさんの二酸化炭素を発生させてしまう。そのことを考えると、エコカーではあっても究極とまではいいきれない。いずれ、再生可能エネルギーの電力で水を分解して水素がつくりだせるようになるなどすれば、それが叶う。

【走り】水素満タンで700㎞前後を走る

燃料電池自動車は、一度水素を満タンにするとかなりの長距離をいける。トヨタのMIRAIは約650㎞で、ホンダのCLARITY FUEL CELLは約750㎞。これは電気自動車の数値を大きく上回るとともに、燃費のいいガソリン車にも肉薄する数値となっている。

また、水素を満タンにする時間は3分程度。これはある意味ガソリンを入れる時間とあまり変わりない。充電に長い時間がかかる電気自動車と比べると大きなアドバンテージがある。

なお、まだ水素の値段が高めなので燃費という点ではハイブリッド車並に留まるようだが、いずれ水素が普通に使われる状況になれば、それも解消されるものと見られている。

5_LAB図2イメージ3

【乗り心地】空飛ぶじゅうたんのような浮遊感!?

実際のドライブフィールに関しては、さまざまなメディアにたくさんの試乗レポートがあがっている。電動自動車と同じで「とにかくスムーズな加速」という意見が圧倒的だ。なかには「(MIRAIは)フラットで安定した姿勢で走るため、まるで空飛ぶじゅうたんに乗っているような、気持ちのいい浮遊感覚があります」(女性自身2015年1月20日号・竹岡圭)といったユニークな評もある。

なお、言わずもがなだが、動力がモーターなので走行中の室内はとにかく静か。同乗者との会話、音楽の鑑賞には最適の環境を提供してくれる。デートにはもってこいだ。

(後編につづく)

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