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水ーっと走るよ、燃料電池自動車 【後編】

2016年5月13日更新

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前回に引きつづき、燃料電池自動車についての課外授業。前編はいいとこばかりをピックアップしたが、後編ではあえてデメリットなどについても言及する。ほんとうの普及を願うが故に。

【安全】時速80キロで衝突しても水素タンクは大丈夫!?

水素が燃えやすい物質であることは、みんなよく知っている。だから「タンクの水素が車内に漏れたらあぶないんじゃないか?」「事故を起こしたら、衝撃で水素タンクが爆発するんじゃないか?」などと心配する声があがる。
しかし、メーカー側の発表などを目にすると、あまり心配する必要はなさそうだ。あたりまえだが、基本的に水素が漏れない設計となっている。万が一漏れたとしても、それを検知したらタンクのバルブを遮断するシステムが導入されている。同時に、漏れた水素が外に拡散しやすい車体構造となっている。
事故のときも同様で、たとえばMIRAIの場合は時速80キロで正面衝突してボディが大破したとしても、タンクは変形しないようにつくられている。さらに、クルマが燃えて炎につつまれたとしても、タンクについた弁(溶栓弁)が熱で溶けて水素を放出する設計になっており、その場合、噴出する水素に火はつきはしても、タンクが爆発することはないらしい。

MIRAIの高圧水素タンクの構造

MIRAIの高圧水素タンクの構造



【インフラ】10年後には水素ステーションがいっぱい?

いま、燃料電池自動車普及のための一番のネックは、クルマに水素を補給するための水素ステーションの数。2016年3月現在で100に満たない。しかも関東、東海、関西、九州の都市部にしかない。ガソリンスタンドが日本全国に約3万4000ヵ所、電気自動車の充電設備が約1万5000ヵ所あることを考えれば、相当に残念な状態といえる。買っても、しばらくのあいだは燃料電池車で日本全国を自由にドライブすることはできない。
ただ、ずっとそんな状態がつづくわけではない。国が水素ステーションの設置を強力に後押ししており、いつかその数がガソリンスタンド並みとなり、さらにはそれを超える日さえやってくるといわれている。はっきりしたことはいえないが、10~20年先には給水素にあまり悩まず遠出できるようになるのではないだろうか……。それまでは都市部限定のドライブで我慢だ。

【価格】減税、補助金などでかなり低くなるけれど……

トヨタのMIRAIもホンダのCLARITY FUEL CELLも高い。どちらも700万円以上する。エコカー減税、グリーン税制、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金などによってかなり下がるみたいだが、まあ、それでも高い。
なんでそんな高いのかというと、いろいろあるらしいのだが、たとえば燃料電池内で水素と酸素を化学反応させるための触媒であるプラチナとかが相当に高いらしい。いまのところ、それはどうしようもないことのようだ。
とはいえ、どんな製品も普及とともに価格は下がっていく。さらにメーカー同士での品質競争と価格競争がはじまれば、さらなるプライスダウンが見られるようになる。そこらへんの効果に期待しよう。

以上で、燃料電池自動車に関する緊急課外授業は終了である。駆け足だったが、その大まかなアウトライン、そして魅力(ないしは不安要素)は伝わっただろうか?
インフラが整わないなかで高いお金を払ってだれよりも早く未来を享受するか、インフラが整い価格が低くなるのを待ってみんなと同じタイミングで普通に乗りはじめるか、それはあなたの価値観次第だ。

東京モーターショー2015に展示されたトヨタの燃料電池自動車のコンセプトカーFCV PLUS

東京モーターショー2015に展示されたトヨタの燃料電池自動車のコンセプトカーFCV PLUS



※参考文献:トヨタHP/ホンダHP/燃料電池実用化推進協議会HP 他

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