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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2018年7月5日更新
【今回のやっちゃったストーリー】
Wくん(22歳・大学生)は、免許はもっているもののクルマはもっていない。だけど、ドライブが大好きなので、ヒマを見つけてはレンタカーを借りて小旅行を楽しんでいる。
借りるクルマは、いつも軽自動車と決めている。12時間のレンタル料は3000円程度で、ガソリン代を含めても1日分のアルバイト料を超えない点がボンビー学生にとっては非常にありがたかった。
この日に借りたのも軽自動車。借り受けするときに、フロントではいつものように「免責補償のCDW加入料はどうされますか?」とか聞かれたが、それがなんの役に立つのかよくわからなかったし、余計な出費は抑えたかったので、にべもなく断った。そもそもレンタル料に保険料が含まれているので、万が一事故を起こしてもなんら問題はないだろうと踏んでいた。
だが、Wくん、今回はじめて事故を起こし、そのことがけっこう重要な問題であったことに気づくのだった――。
それは、1日のドライブを終えようとする夕まぐれのこと。狭い路地の交差点を左折するときに、まだヘッドライトを点けていなかったせいか目測を誤り、ブロック塀の角に車体の左フロント部分を擦ってしまった。ギギギッ。まったく大した事故ではなかったが、ボディはそれなりに凹み、塗装がはがれた部分はかなり目立つキズとなっていた。
「あちゃー」
これまでずうっとレンタカーでは無事故だったWくん、激しく落ち込んだが、とりあえずブロック塀のお宅のベルを鳴らし、ことの次第を説明した。人の良さそうなご主人と奥さんは、「もう古い塀だからいいよ。それよりクルマがたいへんだ」と塀の損害については不問としてくれた。
「すみませんでした」と頭を下げたWくん。次は、警察に電話して事故処理を行い、レンタカー屋さんにも連絡した。それはそれで大正解の行動だった。
「ま、ヘタこいちゃったけど、保険もでるだろうし、よしとするか」
Wくんは、そう自分を慰めつつレンタカー屋さんに戻った。一時乱れた精神は比較的落ち着きを取り戻していた。
が、レンタカー屋さんのフロントの人が発した次の一言で、再び大きく気持ちを乱れさせることに。
「保険は適用されるんですけど、Wさん、免責分の5万円と、ノンオペレーションチャージ分で2万円、合計7万円ほどお支払いいただくことになりますね」
7万円! な、なんで?
「とにかく安く」は思わぬ出費の元!?
Wくん、とにかく安く済まそうという意識ばかりに囚われて、逆に思わぬ出費を被ってしまいました。
まことに残念ですが、その7万円、支払うよりほかはありません。
いまさら手遅れですが、Wくん、レンタカーで事故を起こしたときの免責のことをレンタカー屋さんに説明してもらい、よく理解してから手続きを完了すべきだったのです。
もし、そうしていれば、「もしも」のときに自分のアルバイト報酬1カ月分以上がパーになるような契約を回避しようとしたのではないでしょうか。
ところで、この「免責」って何か、ご存知でしょうか?
レンタル料金に含まれる保険料
免責のことを学ぶ前に、まず、レンタカーの保険の基本的な仕組みと補償内容について見ておきましょう。
じつは、レンタカー料金のなかには保険料が含まれています。これは、12時間~24時間のレンタル料が3000~3500円(税別)の軽自動車であっても同様です。そんなに安いレンタル料のどこに保険料が含まれているのか不思議に思えるかもしれませんが、嬉しいことにそれが世間の通例となっているのです。
では、そんなリーズナブルな保険の補償内容はどうなっているのでしょうか?
以下に一例として掲げたのは、全国のロータス店のうちの320店が運営している「楽ノリレンタカー」の保険の補償内容。他社もほぼ同じ内容となっています。
対人も対物も無制限となっているなど、なかなかに厚い補償内容です。もし事故を起こしたとしても、飲酒運転などの違反をしていない限りは、多くの補償が保険でカバーされることになります。レンタカー会社によっては、この基本の補償内容を抑えたものにしておき、別途料金を払えば内容がグレードアップするというシステムを採用しているところもありますが、とにもかくにも安心の内容になっているのです。
ところで、上に掲げた表のなかに「免責5万円」という表示が2箇所ありますが、これはなにを意味するのでしょうか?
なにを隠そう、これこそが、今回、Wくんに思わぬ出費をもたらした“曲者”。自分には無縁のものと思いこんではいけない表示だったのです。(後編につづく)
“保険付帯”のレンタカーなのに、事故で「免責分の支払」ってなに?(前編)
“保険付帯”のレンタカーなのに、事故で「免責分の支払」ってなに?(後編)
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