ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2021年8月4日更新
これまで、軽自動車の自動ブレーキは低コストで済む赤外線レーザーによるものが主流だった。そのため、「軽自動車はどれもあまりちゃんと止まらないのでは?」という印象があった。しかし、2015年からスズキが自社の軽自動車に「デュアルカメラブレーキサポート」というカメラによる自動ブレーキを搭載できるようにして、事情は大きく変わった・・・。後編では、そのスズキの自動ブレーキのすごさにスポットを当てる。
高評価のアイサイトの廉価版を搭載
2015年5月、自動車業界の多くの人が腰を抜かしそうになった。
スズキが、新しいスペーシアに軽自動車で初となるステレオカメラによる自動ブレーキシステム(衝突被害軽減システム)「デュアルカメラブレーキサポート」をオプションで採用すると発表したからだ。
それまで、コスト重視の軽自動車に付ける自動ブレーキは、安く設置できる赤外線レーザーによるものが定番で、性能はいいがコストが高めとなるカメラやミリ波レーダーによるものは付けられないとされていた。それがいきなりのデュアルカメラによる自動ブレーキ採用のニュースである。
しかも、そのデュアルカメラは、もっとも評価が高いスバルの自動ブレーキシステムに採用されているアイサイトと同じ技術でつくられているもの(日立オートモティブ製)で、廉価版であったとしても、性能は赤外線レーザーとの比ではないだろうことは明々白々だった。
つまり、スズキは、コストと性能のバランスを絶妙に取りながら、軽自動車にはじめて自動ブレーキらしい自動ブレーキを装備させることに成功したのである。それはある意味、早すぎる革命ともいえ、自動車業界の人たちが腰を抜かすほど驚くのは無理もないことだった。
多くの普通乗用車よりもしっかり止まる
それ以降、スズキは、新しく発売される軽自動車に次々と同システムの搭載をつづけているわけだが、市場においてもそのすばらしさに対する賞賛は多く、「ほかの軽自動車だけでなく、小型乗用車や普通乗用車と比べても、スズキのクルマの自動ブレーキのほうが、しっかりと止まる(アイサイトはともかくとして)」という評価を獲得するまでとなっている。
実際、雑誌やWebを見わたすと、同様の高い評価が目立つ。以下に引用したのは、そのなかでもデュアルカメラによる自動ブレーキのよさを非常にわかりやすくかつ端的に表している記事の一つである。
〈軽自動車の自動ブレーキは、まだ機能がミニマムな車種が多く、「自動ブレーキ付き!」と謳っていても、30㎞/h以下でしか効かない気休め程度のものも多い。そんななか、現在買える軽の中では、スズキのハスラーとスペーシアに装備できる「デュアルカメラブレーキサポート(日立オートモティブ製)の性能が最も優れている。前方のクルマには5㎞/h~100㎞/hの範囲でドライバーに警報音を鳴らして減速を行い、50㎞/h未満なら衝突を回避する。相手が歩行者の場合でも、こちらが30㎞/h未満なら止まってくれる。メーカーオプションで、価格は7万5600円(横すべり防止装置とセット)と非常にリーズナブルだ〉
(週刊ポスト 2016年2月5日号 「清水草一PRESENTS 死ぬまでカーマニア宣言!」)
対クルマは50㎞/h未満、対ヒトは30㎞/h未満
では、その「デュアルカメラブレーキサポート」とは、どんな自動ブレーキなのか。スズキのホームページやカタログに詳しいが、それらを元に、自動ブレーキ機能に焦点を絞って、なるべく平易に解説してみよう。
〈基本的な仕組み〉
人間の目と同じようにカメラが左右に二つあるのがデュアルカメラ=ステレオカメラ。前方が見わたせるようにフロントウィンドウ内側の上部に設置されている。それでクルマや歩行者などの形、距離を検知し、ぶつかりそうな状況になったら自動ブレーキ(衝突被害軽減システム)をかける。
「デュアルカメラブレーキサポート」のカメラ部分
「デュアルカメラブレーキサポート」は、新しい軽自動車イグニスにもオプション設定がされている。
関連キーワード
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
世界最大の自動車技術展『オートモーティブワールド2018』が、1月17日~19日の3日間、東京ビックサイトで開催された。注目はなんといっても今回はじめて加わった…
2018.01.31更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
「自動車新時代戦略会議」が完全電動化の目標年を発表「自動車新時代戦略会議」(経済産業大臣主催)は2018年7月24日、この春からから重ねてきた官民による話合…
2018.09.11更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
特定自動運行が社会にもたらすさまざまなメリット2023年4月施行の改正道路交通法に伴い、自動運転レベル4に相当する、運転者がいない状態での自動運転移動サービ…
2023.04.25更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
日本はEV先進国?それともEV開発途上国!?―2009年に三菱自動車は世界で初めての量産型EVであるアイ・ミーブを発売しました。また、2010年に日産が出…
2018.10.23更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
ウワサの軽EVがついに姿を現した――。三菱自動車は1月14日、幕張メッセで開催された東京オートサロンで、今年4月以降に販売する軽EVのコンセプトカー「K-EV…
2022.01.27更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
第45回東京モーターショー2017のルポ第三弾では、ロータスクラブの提携企業である三菱自動車のEVへの取り組みと、そのコンセプトカーについて紹介していきたい。…
2017.11.09更新