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2022年5月12日更新
傑物イーロン・マスク
この本は、世界を席巻するEVメーカーとなったテスラのCEOで、最近ではツイッターの買収で話題となっているイーロン・マスクがいかに優れた経営者であるかを記すビジネス本である。と同時に、彼自身の人間性に迫った評伝にもなっている。
読むと、イーロン・マスクが幼少時から大変な才能を持つ人物だったことがよくわかる。
●1971年に南アフリカに生まれた彼は、幼い頃から読書魔だった。1日10時間読書し続けたこともあった。
●10歳のとき、コンピュータのプログラミング言語をわずか3日でマスター。12歳のときにはゲームソフトを作り、500ドルで売りさばいた。
●高校で不良にいじめられたときは、読書をやめて空手やレスリングの習得に集中。半年後に不良をノックアウトしていじめをやせさせた。etc.
長じてからは、社会(世界)に巨大なインパクトを与える人物となった。
●カナダ、アメリカの大学で経済学と物理学を学んでいたとき、将来の人類に最も大きな影響を与えるものは「インターネット、持続可能なエネルギー、宇宙開発」と気づき、将来、それを仕事にすることを決めた。
●まず手がけたのは「インターネット」のビジネス。大学卒業後に入ったスタンフォードの大学院を2日でやめて、オンラインコンテンツ制作会社を創業。その会社はのちに約25億円で売れることになる。
●次に、インターネットの送金決済サービスPayPalの前身となる会社を立ち上げた。後年、PayPalが売却されたときには約190億円を手にすることになる。
●大金を手にしたら、普通なら悠々自適の生活を送ってもいいところ。だが、今度は「宇宙開発」に乗り出すべく、大金をつぎ込んでロケット開発・製造を行うスペースX社を2002年に創業。既存の大企業が決してやらない発想と手法が評価されて短期間にNASAの指定業者になるなど、大成功を収めている。例えば私たちは、スペースXの再使用を目指す縦型ロケットが、2021年に立った姿勢のまま逆噴射で着陸するという信じがたいシーンを目撃している。
●多忙な「宇宙開発」の傍ら、「持続可能なエネルギー」ビジネスのひとつとして、2004年頃からCO2を出さないEV(インターネットにつながるEV/いずれ自動運転車となるEV)を製造・販売するテスラの共同経営に乗り出した。2016年に発表したテスラ3が世界的に売れるなど、2020年にはトヨタを抜いて世界一の資産価値がある自動車会社となった。etc.
イーロン・マスクはヒーロー漫画の主人公のようにかっこいい人物なのだ。その際立った個性・能力・実績にワクワクするとともに深い感銘を受ける。将来、価値ある事業を興したいと考えている人には、最上級のヒントを得られること間違いなし。ぜひ、一読をオススメしたい。
OTAのカラクリ
本書には、テスラ車の魅力に関する記述も多くある。その中で、テスラ車の技術的な先進性を裏側から紹介する記述の数々が非常に興味深い。
例えば、私たちは、「テスラ車はOTA(オーバー・ザ・エア)によって、買った後でもデータがアップデートされて進化する」ということは聞いて知っている。だが、具体的にどうやってクルマの性能を進化させるのかを理解していない。ネットを通してデータの更新はできたとても、物理的な進化は整備工場にでも入庫させない限り不可能なはずだからだ。本書は、その辺りのカラクリを明らかにしている。
〈……「モデルS」には自動緊急ブレーキが装備されていて、その対応速度は時速45㎞以下に制限されていた。▶ところが、その後のソフトウェアアップデートで、高速走行への対応として上限時速154㎞まで利用可能となった。▶裏の仕掛けはこうだ。モデルSの出荷時にはハードウェア的には上限時速154㎞まで対応可能だったのだが、ソフトウェア開発が間に合わなかった。そこで時速45㎞以下に制約してモデルSを出荷していたというわけだ〉
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