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次世代エコカー勉強会〈17時限目〉EVの駆動用バッテリー(後編)もうすぐ全固体電池を搭載した実質航続距離600㎞を誇るEVがデビューする!?

2020年8月1日更新



リチウムイオン電池よりも優れた性能を持つ次世代電池の中でも、EV(電気自動車)の駆動用バッテリーとして最も期待されているという全固体電池。後編では、この全固体電池とはどういった蓄電池なのか、どんな特長があるのか、といったことについて学んでいこう。

リチウムイオン電池の親戚だが
電解質が固体でできている

次世代電池として期待されている全固体電池は、リチウムイオン電池と同じく正極と負極の間でリチウムイオンを行き来させて充電したり放電したりする二次電池(蓄電池)だ。そのため、全固体電池のことを全固体リチウムイオン電池と呼ぶこともある。言ってみれば親戚同士の関係なのである。

ただし、つくりは大きく違う。

全固体電池の電解質は液体ではなく固体でできている。また、リチウムイオン電池に必須の、ショート(内部短絡)を防ぐためのセパレーターもない。物としては似て非なるものとなっているのである。



3年前に「いい固体」の発見され
各メーカーが実用化に動きだした

普通の感覚で考えると、固体の中でイオンを行き来させるのは難しいように思える。

だが、その点については既に解決済みだ。

今を遡ること半世紀前にイオンが固体結晶の中を動くことが発見されている。

以降、それを元にしてさまざまな研究が行われてきており、2011年には遂に東京工業大学とトヨタの共同研究チームが液体に負けず劣らずイオンが伝導しやすい固体(リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄で構成される化合物)を発見している。

しかも、同研究チームは2016~2017年にレアメタルであるゲルマニウムの使用を抑えて安価なスズやケイ素などを加えた化合物の開発に成功し、低コストで実用化できる目途もつけている。

現在、こうした研究成果をベースに、世界各国のさまざまなメーカーが全固体電池の研究・開発を精力的に進めており、蓄電池としての実用化はもう目前に迫っている。

充電時間と航続距離が
飛躍的に改善する

では、この全固体電池、実用化されるとどんないいことがあるのか。EVの駆動用バッテリーに採用された際のメリットを見ていこう。

全固体電池の特長は、主に次の3点を挙げることができる。

①エネルギー密度がリチウムイオン電池よりも高い(300~400Wh/㎏)

②高温に強くて冷却システムやスペースがなくても100℃でしっかり作動する(低温にも強い)

③固体ゆえに漏洩や発火のリスクがない

これらはすなわち、EVの駆動用バッテリーのさらなる小型化・軽量化ができ、安全な状態で大量搭載できることを意味している。そして同時に、充電時間と航続距離の改善において飛躍的にいい結果がでることを意味している。

一説によれば、搭載する電池の量にもよるが、わずか数分間の急速充電で数百㎞走れるようになるらしい。また、満充電にした場合の実質航続距離は600㎞ぐらいまで伸びるらしい。これはもうガソリンエンジン車の給油時間と航続距離に匹敵もしくは凌駕するほどの数値である。

とにかく、いいことづくめ。リチウムイオン電池もEVのバッテリーとしてすばらしいが、なるべく早い全固体電池への転換が待ち望まれるところだ。

今のところ、どのメーカーが最初にそれを実現するかはまだわからない。だが、開発を先行させているトヨタは「2020年代の前半の実用化を目指している」と明言している。もうわずか数年先の話。期待して待ちたい。

蓄電池の進化とともに
EVの普及は広がってゆく!

なお、言うまでもないことかもしれないが、二次電池(蓄電池)の進化は全固体電池が最終形ではない。

現在、全固体電池のより高度な進化バージョンが追求されているほか、金属空気電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウム電池など、さまざまな次世代電池の研究・開発が進められている。

それらが実用化に成功すれば、現時点で実用化目前となっている全固体電池よりも高い性能を有することとなり、EVの充電時間や航続距離にさらなる好影響をもたらすのは間違いないと言われている。



リチウムイオン電池から始まった駆動用バッテリーの絶え間ない進化……。こうしたことに目をやると、EVがどんどんと普及してゆく光景が見えてくる。

今は嵐の前の静けさ。モータリゼーションの爆発的な電動化はもう間近といえるのである。

次世代エコカー勉強会〈17時限目〉EVの駆動用バッテリー

(前編)ノーベル賞に輝いたリチウムイオン電池だが2025年に進化の限界がやってくる!?

(後編)もうすぐ全固体電池を搭載した実質航続距離600㎞を誇るEVがデビューする!?

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