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『i-MiEV(アイ・ミーブ)』10周年記念ストーリー(前編)- 次の100年へ向けクルマ社会の扉を開けたEVのパイオニア!

2019年9月10日更新

画像提供:三菱自動車、以下同様



ロータスクラブが提携する、三菱自動車のEV『i-MiEV(アイ・ミーブ)』が、2019年6月5日に発表から10周年を迎えた。これを記念して、今回、アイ・ミーブ開発の経緯と発表からの10年を振り返りたい。前編は、世界で初めての量産EVとして世にでるまでのストーリーである。

世界初の量産型EVの誕生

「The Earth Vehicle 次の100年を走りだそう」

小さなEVの『i-MiEV』は、この壮大なキャッチコピーとともに世に現れた。

i-MiEV発売当時のカタログの一部



その新車発表が行われたのは2009年の世界環境デーである6月5日のこと。直後の7月には法人や自治体などへのリースを基本として販売が始まり、翌2010年の4月1日からは個人向け販売がスタートした。三菱自動車のこの一連の動きは、「世界初の量産型EVの登場」というモータリゼーション史に残る一大トピックスとなった。

より多くの人にこれまでにない走りの歓びを届ける『i-MiEV』は、まさに「次の100年のクルマ社会の扉を開くパイオニア」(当時社長であった三菱自動車益子修会長の発表会での発言)として誕生したのである。

半世紀前からのEV開発の歴史

世界初の量産型EVの登場を可能にした背景には、三菱自動車の長きにわたるEV研究・開発の歴史があった。

今を遡ること半世紀前の1966年。三菱自動車は都市の公害防止の一助となるクルマをつくるべく、東京電力などとともにEVの開発に取りかかった。そして5年をかけてE12型電気自動車(ミニカバンのEV)を完成させ、東京電力に特殊サービス車として10台を納入した。それは鉛電池を搭載した最高速80㎞/hという、実に素朴なEVだった。

その後、鉛電池搭載車に加えてニッケルカドミウム電池を搭載したより高性能なEVも開発され、その一部は電力会社や官公庁に販売されるなどした。だが、価格が高く(1994年の鉛電池搭載のリベロEVは11,230,000円)、かつ航続距離などのポテンシャルも不十分であったことから、一般向けの商品化には至らなかった。社内でも、EV市販への道はかなり遠いものと思われていた。

事情が大きく変わったのは、1990年代に、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が自動車用のバッテリーとしても実用化され始めたことによる。この画期的なバッテリーの存在に意を強くした三菱自動車は、日本電池(現GSユアサ)などと共同で、リチウムイオン電池を搭載したFTO-EVやエクリプスEVの開発を積極的に進めていき、航続距離の伸長をはじめとする高性能化や安全性・信頼性・耐久性の向上を果たしながら市販化実現への道を突き進んでいった。



そして、2005年の5月、十分な市販化の手応えを得た三菱自動車は遂に「独自開発の電気自動車を2010年までに市場投入する」と発表するに至った。周囲からは、それまでEVは長きにわたり登場しては消えるを繰り返していたことから、期限を切って実際に市場に投入するというこの決意の表明は驚きをもって受けとめられた。「本当に大丈夫なのか?」と。

軽自動車の『i(アイ)』をベース車に採用

しかし、三菱自動車は動じなかった。発表以降、コルトEVやランサーエボリューションEVの試作車をつくるなどして、市販EVのあるべき方向性の模索・検討を真摯に続けた。そして最終的に、2006年の秋に、同年1月から発売されていた軽自動車の『i(アイ)』を市販EVのベース車として採用することが決められた。もともと『i』はエンジンを後方下部に積むリア・ミッドシップレイアウトでロングホイールベースが特徴の斬新なクルマ(2006年のグッドデザイン大賞、RJCカー・オブ・ザ・イヤーなどを授賞)。その近未来的なスタイリングと、居住/荷室スペースを犠牲にすることなく大容量のバッテリーを積むことができる構造は、EV化にはもってこいだったのである。



なお、このときに『i MiEV』という名称も決まっている(当時はハイフンがない英語表記。量産時にi-MiEVとなった)。iは「I(myself)」と「innovation=革新」の頭文字、MiEVは「Mitsubishi innovative Electric Vehicle」の略を意味していた。

市販化に向けて過酷な試験を実施

『i』をベースとして市販EVを創るという方向性が決まったら、既にEVの基本的な技術は確立していたこともあり、あとは製品としての信頼性を高めるのみだった。

とはいえ、初モノだけにそのための実証試験は徹底して行われた。

まず社内では、耐久試験、高速走行試験、耐水性確認試験など、さまざまな条件下での過酷な試験が繰り返された。また、急速充電器の開発を進めていた各電力会社などと共同で急速充電器との適合性や、航続距離を伸ばすための実証走行試験などが重ねて実施された。さらに、EVのグローバル展開のために、海外での実証試験や調査活動も積極的に行われている。

その間、約4年。『i-MiEV』は、こうした国内外でのさまざまな使用条件・気候条件での試験・調査を経て、そこから得られた膨大なデータをフィードバックしながら、個人向けに販売するEVとしての信頼性ならびに実力を高めていったのだった。







当時から、世間では「EVは、つくるのが簡単」との説も流れていたが、グローバルなビジネスを行う自動車メーカーの商品づくりとしては、それほど安易なものではない。結局、三菱自動車が自信をもって2009年に法人向けにリリースし、2010年に市販化をスタートさせたのは、自動車メーカーとしての真摯なクルマづくりの姿勢を貫いた成果であり結果といえるのである。

高品質なEVとして完成した『i-MiEV』は、世界中からの注目を浴びながら、クルマ社会の次の100年の扉を開ける、EVのパイオニアとしてしっかりとした足取りで走りだした。(文:みらいのくるま取材班)



『i-MiEV(アイ・ミーブ)』10周年記念ストーリー

次の100年へ向けクルマ社会の扉を開けたEVのパイオニア!

世界で実用性と市場受容性を証明しEV時代の礎を築いた!

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