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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2018年7月5日更新
スマホ運転で10%の過失追加
では、具体的にVさんの事故の過失割合と補償額はどうなるのか、この後編ではそれについて見ていきましょう。
まずは過失割合について。
もし、クルマ側も自転車側も交通違反をしていないなかで交差点で接触事故が起こったとしたら、これまでの判例に照らし合わせると、クルマの過失が80%で、自転車の過失が20%となることが予想されます。
しかし、Vさんのケースでは、自転車の男性がスマホを見ながら運転するという携帯電話使用運転の違反を犯していました。そのため、おそらく10%ほどの変動があり、クルマの過失が70%で、自転車の過失が30%となることが考えられます(それに加えて一時停止も怠っていたとしたら、それ以上に自転車の過失割合が増える可能性があります)。
どうでしょうか?
交通弱者優先という基本があることを踏まえれば、なかなかに妥当な割合のように思われます。
勝手な示談金も成立すれば有効
つぎは補償額について。
Vさんの自転車側への補償は、事故後に警察と保険会社にちゃんと連絡を入れていれば、いま紹介したように70%かそれ以内の割合で保険会社から支払われることになったはずです。Vさんが5万円とか10万円の免責をつけていたとしたら、スマホと自転車の修理代がそれほど高額にはなるとは思えないので、自腹となる可能性はあるにしても、そのなかですべて穏便にことは済んでいたことでしょう。
問題は、警察と保険会社に連絡せず、10万円の示談金を支払ったことです。その後にさらなる金銭要求というタカリがあり、困って改めて警察と保険会社に連絡を入れたとして、その場合、保険の補償内容はどうなるのでしょうか? また、示談金10万円のやりとりはいったいどのように処理されるのでしょうか?
おそらく、表ざたになったことによって、相手の男性は入院治療費などを取り下げることになるでしょう。とりあえず、Vさんはさらなるタカリによる金銭被害を免れることができたわけです。では、すでに払ってしまった10万円の示談金はどうなるのでしょうか?
示談とは、当事者同士が話し合って、裁判所の手を借りずに紛争を解決することです。メモ書き程度の示談書ではありますが、Vさんと相手の男性は話し合って事態を解決したことになるので、この10万円は示談金として有効とされます。また、原則としていったん示談をしてしまうと、その後に示談のやり直しはできません。
繰り返しになりますが、みなさん、万が一の事故のときには、どんな軽微な事故でも必ず警察に連絡をするようにしましょう。そして、くれぐれも自分たちだけで勝手に事故の処理をしないよう、気をつけましょう。
ながらスマホの自転車と事故。過失割合は?(前編)
ながらスマホの自転車と事故。過失割合は?(後編)
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