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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

渋滞中にスマホ将棋の「ながら運転」したら、人生が詰んじゃった!(後編)

2020年5月27日更新



「ながらスマホ」禁止のほか
カーナビにも言及

ここで、2019年12月1日に施行された「ながら運転」を禁止する改正道路交通法が、具体的にどんな内容になっているのか、少し詳しく見ておくことにしましょう。以下は、その条文(一部省略あり)です。

改正道路交通法の条文(令和元年12月1日施行)
(運転者の遵守事項)
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
五の五 自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。

スマホ(スマートフォン)などの身近な単語が使われておらず、言い回しが法令文独特で、非常にわかりづらいわけですが、なるべくかみ砕いてポイントを抜き出せば、以下の2点になります。
①運転中に、スマホや携帯電話、無線通話装置を手で持って通話してはいけない。
②運転中に、車内に取り付けられたり持ち込んだりしたスマホや携帯電話あるいはタブレットの画面、あるいはカーナビの画面を注視してはいけない。

つまり、わかりやすくイラストで表現すると以下のようになります。



運転中はスマホを使用しない
ことを習慣に

ところで、条文に規定されている「運転者の遵守事項」と、前編で掲載した罰則のつながりについては、少し説明が必要です。それについて、記事作成にあたって警視庁の交通相談コーナーや、交通事故の判例に詳しい弁護士に問い合わせたところ、以下のようになるとのこと。

大きく言うと、「運転者の遵守事項」として定められた「ながら運転禁止」という傘の下に、「携帯電話の使用等(保持)」と「携帯電話の使用等(交通の危険)」という二つの罰則のくくりがあるわけです。そして、警察の取り締まりがどのような行為を対象に行われるかというと、次のようになります。

●「携帯電話の使用等(保持)」にあたる行為
①運転中に、スマホや携帯電話、無線通話装置を手で持って通話した。
②運転中に、手に持ったスマホや携帯電話あるいはタブレットの画面を注視した。

●「携帯電話の使用等(交通の危険)」にあたる行為
(以下の行為によって交通の危険を生じさせた)
①運転中に、スマホや携帯電話、無線通話装置を手で持って通話した。
②運転中に、車内に取り付けられたり持ち込んだりしたスマホや携帯電話あるいはタブレットの画面を注視した。
③運転中に、車内に取り付けられたカーナビなどの画面を注視した。

これに、実際の取り締まりイメージをかけ合せてみましょう。
「原則として」と断り書きをした上で言えることは、道路上で運転中に取り締まりを受けると考えられるのは、「スマホなどを手で持って通話する」「手に持ったスマホなどの画面を注視する」とった、「携帯電話の使用等(保持)」にあたる行為です。
「カーナビなどの画面を注視した」ということで、「携帯電話の使用等(保持)」を問われることはありません(ただし、「前方不注視」を問われる可能性はあります)。

では、「携帯電話の使用等(交通の危険)」を問われるのはどんなときなのでしょうか。
これは、交通事故を起こしてしまったり、暴走などの危険行為を行ってしまったときに、その原因の一つとして、「スマホなどを手で持って通話する」「スマホなどの画面を注視する」「カーナビなどの画面を注視する」ということが挙げられる場合が多いと思われます。要は、事故などの容疑として、「ながら運転」も立脚するということを明確にしているのです。

警察は、走行中はスマートフォンや携帯電話などを使用しないよう、運転する前に電源を切ったり、ドライブモードに設定したりするなどして呼出音が鳴らないようにすることを呼びかけています。そして、どうしてもスマートフォンや携帯電話などを使用しなければいけないときは、必ず安全な場所に停車してから使用するように求めています。安全運転のためにはこうしたことを習慣にする必要があるということでしょう。

「2秒ならOK」は真っ赤なウソ

最後は、今回の改正道路交通法にまつわる噂の検証です。

改正道路交通法の施行後、インターネット上には「『ながら運転』でのスマホ画面注視などは、2秒以内だったら違反にならない」といったような記述がポツポツと存在しています。

しかし、警察庁と警視庁に電話で問い合わせたところ、そういう2秒ルールなどは噂あるいはフェイクに過ぎず、事実としてまったく存在していないということがはっきりとわかりました。

警察庁の広報室の回答はこうです。

「道路交通法には注視する時間が2秒以内なら大丈夫などという文言は一切入っていない。だから、2秒ルールは存在しない。取り締まりにおける具体的な判断基準がどうなっているかについては、交通の現場を管轄している各都道府県の警察に問い合わせてほしい」

東京都の交通の現場を管轄している警視庁の交通相談コーナーの答はこんな風です。

「取り締まりの警官は、秒数判断ではなくて状況判断を元にして違反かどうかを決めている。たとえドライバーがスマホ画面を1秒ほどしか見ていなかったとしても、ちゃんと前方を見ていないとわかれば、それはすなわち違反と判断される」

つまり、ルールがあるとすれば、走行中に手に持ったスマートフォンの画面を注視していて安全運転ができていないとなれば取り締まられるということ。もちろん長い時間の注視は問題外ですが、1秒であろうと2秒であろうとそこには秒数はまったく関係がないのです。

「そもそも2秒あれば、時速60キロで走っているクルマならば約33.3メートルも進行する。その間、前方をちゃんと見ていないというのはかなり危険な行為。そういう意味でも2秒以内ならOKということはあり得ない」(警視庁交通相談コーナー)

もし、あなたが2秒ルールの噂を信じているとしたら、今すぐにそれへの信頼をアタマの中から消し去るようにしてください。

なお、Sさんは、幼なじみに言われた「赤信号とかで停まっているときなら、スマホを手でもってもいいし、注視しても違反じゃないんだよな」という言葉を裏付けとして渋滞で停車中に将棋アプリに興じ、結果、事故を起こして厳しい罰則を受けることになりました。
確かに、この幼なじみの言葉は間違ってはいません。実際にそういうルールになっています。しかし、「1ミリでも動いたらアウト」(警視庁交通相談コーナー)なのです。つまり、渋滞中にゲームに興じるなどということは明らかに間違った行為。いい大人がやることではありません。

やはり、真の交通安全の実現には、厳罰化による抑止力だけでなく、ドライバー自身がまっとうな判断と行動ができる人間力を発揮することが不可欠なのです。
交通社会の市民として「危険を招く『ながら運転』は絶対にしない」との認識を強くしながらドライブを続けるようにしたいものです。

渋滞中にスマホ将棋の「ながら運転」したら、人生が詰んじゃった!(前編)

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