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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2016年11月22日更新
この秋、「みらいのくるま」関連の注目のニュースが立てつづけに飛び込んできた。なかでも大きなインパクトがあったのは、「2018年3月から音が消せない車両接近通報装置搭載の義務化」と「クルマ大国ドイツが内燃エンジン搭載車を2030年までに販売禁止にするかもしれない」の二つ。それぞれいったいどんな話なのか。そしてどういう意味をもっているのか。まず、「2018年3月から音が消せない車両接近通報装置搭載の義務化」のニュースについて見ていくことにしたい。
騒音問題から静音問題へ
ほんの10数年前までは、クルマの騒音が問題視されていた。
たとえば日本の狭い住宅街だと、「早朝から(暖気の)エンジン音がうるさい」「もっとスピードを落として静かに走ってほしい」などなど、小言に近いクレームが当たり前にあった。
いまも、その傾向はなくはない。だが、全般的にエンジンとタイヤの静粛性が高まったせいか、それほどぶつぶついう声は聞かれなくなっている。
だが、代わりに増えている声がある。それは「クルマが静かすぎて怖い」というまったく逆の声だ。
ふつう、狭い路地を歩いていて、うしろからクルマが近づいてくると、人はそれが視野に入っていなくても音で気づくため、瞬時に軽い警戒態勢に入ることができる。だが、クルマから音がでていなかったとしたら、それがまったくできない。横をスーッと走り去っていくときに、はじめて存在に気づいてハッとなり、「なんだよ、危ないじゃないか!」となるのだ。
そう、もうおわかりいただいていると思うが、静かなモーターで走るハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV・PHEV)、そして電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の急な普及が、この問題を引き起こしているのである。
意味がない“音が消せる車両接近通報装置”
この静音問題、なんとかならないのだろうか?
じつは、国土交通省が、この問題をなんとかすべく、2010年に「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」をだし、義務ではないものの、メーカーに路地などにおける低音走行時に車両接近音をだす通報装置を搭載するよう促した。各メーカーは、足並みそろえてそれに従い、以降、すべてのHV、PHV・PHEV、EV、FCVに装置が搭載されるようになった。
だが、残念ながら、それで問題は解決しなかった。なぜなら、それら装置はスイッチ一つで音を消せるような仕組みになっていたからだ。現在、少なからぬドライバーが、あえて消音モードのままで走りつづけることをチョイスしている。
彼らが消音モードにする理由はいろいろあるみたいだが、ざっくりまとめると以下のようになる。
「せっかく静粛性に優れたクルマなのに、なんでわざわざ変な音をださなきゃならんのだ。聴いている音楽の邪魔になる」
「わざわざ人工音をだすなんて恥ずかしい。オモチャじゃあるまいし」
「いったんスイッチを切ってしまうと、走るたびにわざわざ入れるのが面倒くさい」
「そもそも音が気持ち悪い。だす気にならない」
こうした声を聞く限り、どうも歩行者不在の感が強い。結果的に、この静音問題は解決を見ることなく現在にいたっている。
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