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次世代エコカー勉強会〈14時限目〉2020~2025年の交通社会は自動運転化で大変革!?

2018年6月21日更新

黒板14限目すでに東京オリンピック・パラリンピックのカウントダウンが始まっている、今日この頃。「2020~2025年」といえば、「みらい」というよりは「明日のもうちょっと先」というイメージである。しかし、そこには、今とは違った交通社会が存在することになるようだ。

自動運転(車)が目指すのは
「移動革命」と「豊かな暮らし」

さる4月17日、政府(行動情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議、議長:総理大臣)は『自動運転に係わる制度整備大綱』を発表した。
そこには2020年から2025年に実現するであろう交通社会の姿が示されている。

大綱では、最初に「自動運転が目指すもの」として、以下の4つの目的が示されている。
(1)交通事故の削減や渋滞緩和等による、より安全かつ円滑な道路交通社会の実現
・・・自動運転によって、交通事故を減らし、渋滞を無くし、安全で安心な移動を実現し、さらにその移動を円滑で快適なものにする。
(2)きめ細かな移動サービスを提供する、新しいモビリティサービス産業を創出
・・・自動運転によって新しい産業を作り出す。たとえば、自動運転車に観光情報を取り込むことで観光用移動サービスを提供したり、自動運転車が子どもや老人の送迎サービスを行ったり、買い物の送迎サービスを行う。
(3)自動運転車による日本の地方再生
・・・人口の減少や産業の低迷などの課題を抱えている地方を、自動運転を起爆剤として活性化する。地方の人々の生活基盤を支え、地方の人々が新しい産業を生み出す環境を整える。
(4)世界的な自動運転車の開発競争に勝ち、日本の自動車産業が、引き続き世界一を維持
・・・日本を代表する産業である自動車産業の世界的な競争力を維持する。世界に先んじて実用化を進め、自動運転車の市場化を実現することで、その技術開発競争に勝ち残る。

このように、自動運転車によって、日本に「移動革命」を起こすと同時に、社会課題をも解決して国民に「豊かな暮らし」をもたらそうというわけである。
そして、大綱では、目指す交通社会を現出するために必要な関連法制度の見直し方針などをも示している。

2020年~2025年頃の交通社会には
「過渡期」ゆえの問題がある

日本の自動運転レベルの定義は、SAE(Society of Automotive Engineers)InternationalのJ3016(2016年9月)をベースに、その日本語参考訳であるJASO(Japanese Automotive Standards Organization、日本自動車技術会)TP 18004(2018年2月)を採用している。



大綱では、2020年~2025年頃の交通社会は、自動運転車と自動運転システム非搭載の従来型の一般車両が混在し、かつ自動運転車の割合が少ない、「過渡期」を想定している。次のような想定である。
●自家用自動車
高速道路での自動運転(レベル2、レベル3)
一般道での自動運転(レベル2)
●物流サービス
高速道路でのトラックの隊列走行
高速道路での自動運転(レベル3)
●移動サービス
限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)
高速道路での自動運転(レベル3)

 

2020~2025の交通社会_改訂_web

大綱から少し離れるが、自動運転車と自動運転システム非搭載の従来型の一般車両が混在する「過渡期」には、それゆえの問題が存在する。たとえば、「限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)」は無人バス(自動運転車)などであるが、限定地域にはレベル2の一般車両も当然存在する。また、歩行者や自転車・2輪車なども混在する。
その状態で交通事故などを起こさないためには、無人バス(自動運転車)には相当に高度な自動運転装置が求められる。

自動運転向けに
走行環境をコントロール

大綱においても、当然のごとく、前述の問題は認識されている。そして、解決のために次のような考え方が示されている。

まず、交通社会において安全性を担保する要素を、「人間」「車両」「走行環境」とし、「3要素が積み重なって一定のレベルに達する必要がある」としている。

そして、自動運転の市場導入期である2020年頃は、複雑な交通環境となり、車両のみで安全性を担保することが難しいため、「自動運転向けに新たに走行環境条件を設定する」ことによって安全性を担保するというのである(「3要素が積み重なったレベル」を安全レベルに持ち上げる)。

自動運転の実用化に向けた段階的な進め方のイメージweb

自動運転向け走行環境条件設定の例として、次の説明がされている(『自動運転に係わる制度整備大綱』より引用)

●走行速度を低速(決められた速度以下)に抑える。
●走行範囲として、決まったルートのみを走行する、または他の交通と混在しない専用空間を設定してその範囲内を走行する。
●走行する天候・時間などを限定する。
●遠隔型自動運転システム等に必要な通信条件を整える。

やがて、自動運転技術の進展によって、その部分での積み上げが高まれば、「人間」の操作によって担保されていた安全性や、「自動運転向け走行環境条件設定」によって担保されていた安全性の割合が減っていき、さらにその先では完全自動運転に移行していくというわけである。

ここで見えてくることは、2020年から2025年頃の自動運転化が「過渡期」にある交通社会では、地域によって、道路によって、あるいは時間帯によって…というような区分けが施され、「走行環境」が可変的にコントロールされるということだ。

そのために、自動運転システム非搭載の従来型の一般車両を運転するドライバーは、自分自身でこの「走行環境の変化」を察知し、対応する必要がある。
たとえば、「ある時間帯の高速道路の1走行車線において『低速走行』が設定され、ここをトラックが自動運転で走行していた場合に、これを認知しない自動運転システム非搭載の従来型の一般車両が高速で追随、追突する…」そういうことを起こさないようにしなければならないというわけである。

関連法制度なども
見直しされる

最後に、大綱に示されている、目指す交通社会を現出するために必要な関連法制度の見直し方針を確認しておきたい。大綱では、重点的に検討する範囲とその方向性について、主として次のように挙げている。

(1)安全性の一体的な確保
・・・前述した「自動運転向け走行環境条件設定」を含む「人間」「車両」「走行環境」という3要素が一体となった安全性の確保を行う。
(2)自動運転車の安全確保の考え方 (道路運送車両法等)
・・・安全基準の策定において、国際的議論をリードしていく。自家用自動車では、自動運転車が満たすべき安全性の要件や安全確保策、自動運転車における保安基準の策定、走行記録装置の義務化、使用過程の自動運転車の安全確保策、などについて検討を行う。物流サービスにおいては、自家用自動車の検討項目に加えて、隊列走行を行う車両が満たすべき技術的要件、車車間通信を使用して他車に追随走行する単独走行車が満たすべき技術的要件、などの検討を行う。移動サービスについては、自家用自動車の検討項目とほぼ同様。
(3)交通ルールの在り方 (道路交通法等)
・・・条件付き自動運転(レベル3)における、必要な措置(交通ルール)とドライバーの義務の見直しなどを行う。限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)における、必要な措置(交通ルール)とドライバーの義務の見直しなどを行う。トラックの隊列走行における、必要な措置(交通ルール)とドライバーの義務の見直しなどを行う。
(4)責任関係(自動車損害賠償保障法、民法、製造物責任法、自動車運転死傷処罰法等)
・・・自動運転システムによって生じた事故について、事故時の責任関係の明確化および事故原因の究明に取組む。そのためのデータ取得・保存・活用についても検討する。
(5)運送事業に関する法制度との関係
・・・(自動運転で人・貨物を運送する業務の)事業許可に必要な要件や手続きなどの枠組みは従来通り。ただし、運転者が車内に不在となる自動運転車での安全性・利便性の確保に必要な措置を検討する。

2020年から、たとえ「過渡期」であろうとも交通社会が自動運転化していくとき、交通ルールはもちろんのこと、車両管理(車載のコンピュータやソフトウェア、その他のシステムを含む)のあり方、あるいはドライバーの義務、そして責任のあり方などが変わる。
そして、そこには「過渡期」ゆえの“いま顕在化していない不安要素”が潜んでいる可能性が高い。もしかしたら、「過渡期」こそ、人間が今以上の危険予知能力を求められる時代かもしれない。(文:みらいのくるま取材班)

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