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2019年6月27日更新
GLMは、トミーカイラZZとGLM G4(以下、G4)を開発・販売するという完成車ビジネスを進めるいっぽう、EVによるプラットフォームビジネスにも取り組んでいる。小間氏にそのビジネスの概要を語ってもらった――。
EVユニットをプラットフォーム化
EVスポーツカーのトミーカイラZZは、土台となるアルミフレームにさまざまな部品を載せ、その上から樹脂のボディをカウリングするという手法でつくられている。これは、走行のための基本ユニット=プラットフォームとボディをそれぞれ独立させて製造できることを意味しているといえる。現在、GLMが進めているプラットフォームビジネスは、この独立させて製造できるという特徴を活かしたものとなっている。
「われわれにとって、トミーカイラZZとG4の開発・販売という完成車ビジネスは第一ステップで、いま進めているプラットフォームビジネスは第二ステップとなります」
「このプラットフォームビジネスは、われわれが良質の部品でつくったEVのユニットをプラットフォーム化し、それをEVを製造して販売したいと考えているメーカーなどに提供していくことを基本としたビジネスです」
「現在、プラットフォームはスポーツカー用、4シーター用、コンパクトカー用の三パターンを用意しています。それぞれ基本形は同じで、それを必要に応じてチューニングして提供していくことになります。ただし、ボディについてはその企業で独自につくるか、われわれがカスタマイズして提供するかのどちらかになるので、外観としてはその企業オリジナルのEVができあがるというわけです」
「いま、新興国では国産の自動車メーカーをつくる動きが盛んで、とくにEV製造に積極的です。しかし、残念ながらそのための技術力が不足しているように思えます。われわれは、まずは、そうしたメーカーにプラットフォームならびにボディを提供していくことを考えています。そして同時に、そうした新興国自動車メーカーと提携することで、われわれ自身が大量生産のための体制を手に入れることも視野に入れています」
新事業・新業態への提供も
GLMがEVプラットフォームを提供する先として考えているのは、自動車メーカーだけではない。小間氏は、今後に起こる自動車産業の構造変革に対応した移動サービスを展開する企業への提供にも積極的に取り組んでいきたいと語る。
「今後、自動車の世界では、個人で所有して利用するというニーズが減少していくなか、所有しないで利用するというニーズが次第に大きくなっていくことが予想されます」
「現在、アメリカの都市部でITを活用した配車サービスのウーバーや、カーシェア、カーレンタルの利用が増えているのはその証しであり、この傾向は日本はもちろん世界中の都市部で顕著になっていくでしょう」
「これは第三ステップのビジネスということになるのですが、われわれは、そうした移動サービスを行う企業を相手にしたプラットフォームビジネスも展開するつもりでいます。その際は、所有というより移動を主眼としたEVが一定数求められるため、ある程度はコモディティ化させ、そのなかで高いクオリティと安いコストを両立させたプラットフォーム&ボディを提供することを考えています。これはある意味、自動車業界における新産業の創造ということができると思っています」
新たな楽しさと豊かさを創造
最後に小間氏は、独自の洞察にもとづき未来のクルマのあり方を語ってくれた。
「私は、今後、自動運転は標準化していくと考えています。たとえば、ETCのように普及し、高速道路などから自動運転用のインフラ整備が進むにつれ、やがては高速道路には自動運転が装備されていなければ入れないとか、あるいは高速運転ができる専用レーンは自動運転でなければ走れない、ということになるのではないかと思います」
「そうなると、クルマはネットワークにつながっていないと、自動運転に関するアップデートや情報交換ができないので、さらにIot化していきます。そして、このネットワークはクルマが走るためだけではなく、従来にはなかったサービスのために使われることになるでしょう」
「そうなれば、クルマの魅力は、今までのハンドルを握る楽しさだけではなくなります。自動運転のクルマの中では、また別の楽しみ、豊かさが生まれるはずです。私たちは、そうした楽しみ、豊かさをも創っていきたいと思っています」
EVをはじめとする未来のクルマは、「クルマとはこういうもの」という殻を自らの嘴で破っていく、そんな意志を小間氏のインタビューから感じた。すでに卵はインキュベーターの中にある。GLMがこれから展開する近未来的なビジネスから、目が離せない。
(文:みらいのくるま取材班)
EVキーマンに聞く/GLM株式会社社長 小間裕康
①トミーカイラZZ誕生エピソード~「とんがったEVがだしたかったんです!」
②EVスーパーカーG4開発コンセプト~「あえてタブーに挑戦しています!」
③プラットフォームビジネスの展開~「さまざまなオリジナルEVが可能です!」
小間裕康(こま・ひろやす)
GLM株式会社 代表取締役社長
1977年8月3日生 。 大学時代に音楽家派遣サービスをはじめ、2000年に株式会社コマエンタープライズを設立。国内外の電機メーカーへのビジネスプロセスアウトソーシング事業に展開。 2010年にGLM株式会社を設立。独自開発のEV Platformをもとに、EVスポーツカー「トミーカイラZZ」を開発。 2015年に日本のベンチャーとして唯一、EVの量産を開始。 2016年にパリモーターショーにて次世代EV「GLM G4」を発表。
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